01.never too late
02.この場所へいつか戻る日
03.so many stars
04.universal
05.overjoyed
06.大きな樹
07.trouble sleeping
08.tea for two
09.tick tock
10.aloha no kalakaua
11.aqua
12.that’s all
(総評)
ソウルフルな歌声を自在に操り、豊潤な声の響きをもつJazzシンガー神谷えりさんの初の彼女自身の名義でのアルバムがリリースされました。これまで、KAMIYA、EK REMIXなど、バンドを率いたサウンドで、とても魅力的な楽曲を聞かせ、ハワイアンのアルバムも出すなど、ただのJazzシンガーとは一線を画すその活動で、着実に多くのミュージシャンとのコラボレーションを見せてきた彼女が、自身名義で、しかもその多くのミュージシャンの友人と「デュオ」という形で、アコースティックでシンプルに、その歌声の魅力を存分にみせてくれるアルバムを届けてくれました。大石学、竹中俊二、金子雄太、小沼ようすけ、後藤浩ニ 、秋田慎治、萩原 亮など、今話題の実力派のJazzミュージシャン達と共に、彼らの素晴らしいパフォーマンスと、神谷さんの素晴らしい歌が、お互いに高めあうかのように、Jazzという枠にとらわれない素晴らしい歌の世界を聞かせてくれます。もちろん、Jazzのスタンダードでは、年間何十本というライブをこなす彼女のJazzライブハウスでのライブを彷彿とさせるような雰囲気に合わせ自在に歌声を操って歌を聞かせ、さらに、その躍動感溢れる歌声でNate Jamesの「Universal」の見事なファンキーなカバーを聞かせ、さらにCorinne Bailey Raeの「trouble sleeping」など近年話題となったR&Bミュージシャンのカバーをも披露し彼女のバックグラウンドの広さを見せてくれています。さらに、この作品では、オリジナル楽曲も4曲収録し、どの楽曲もとても胸に響く歌詞で、それでいて、歌は本当に感情豊かで魅力的に魅せてくれるのです!特に2曲目「この場所へいつか戻る日」での、シンプルだけどエッジが効いたサウンドにのって心に刺さるような切ない歌詞とそれを心の奥底へと届けていく神谷さんの静かだけど、芯の強いまっすぐな歌声が、この曲の泣けてくるんだけど、生き生きとした素敵な情景を目の前に浮かび上がらせてくれます。まるで包んでくれるかのように歌声に広がりがあるんですよね、とてもシンプルな楽曲にも関わらず、深みが感じられる名曲です!さらに種浦マサオ氏との「tick tock」では、全てを包み込んでくれるような優しい歌声が心を癒してくれます。そんな日本語の楽曲でも魅了し、さらにハワイアンやKAMIYA名義でのアルバムに収録されていた「aqua」という曲も入っていたりと、アルバム通して神谷えりという素晴らしいアーティストを満喫することが出来ます。本当に歌が生き生きとした魅力に溢れた良質なアルバムに仕上がっています。
そして、何よりも、神谷さんの歌声とそのテクニックに本当には舌を巻きます。表情豊かな声で、どんな風にも歌の顔を変え自在に操るボーカルパフォーマンスとそれを可能とするテクニック!ときに躍動感にあふれる力強い歌声を、深遠な森の中にいるような囁きのような歌声を聴かせたと思ったら、聞く者を笑顔にさせてくれるような心の底から歌を楽しむような歌声を聞かせます。そんな歌声とそれを支えるシンプルでいてカッコいいサウンドが、Jazzとか関係なく歌本来の魅力を感じさせてくれるアルバムです。日本でも稀有な魅力を持つ女性シンガーの魅力に触れてみませんか?いつまでも聞いていたいそう思わせてくれる一枚ですよ。
オススメ:(2),(1),(4),(5),(6),(7),(9)