The Gospellers / FRENZY

(概説)

このアルバムはR&B作品として、ちょこちょこいいところもあるんですよ。まー定番のアカペラともPOPともなんとも判別しにくい曲もあるんですが。まずは、「ポーカーフェイス」RHYMESTERとの一曲。これがまずいいというよりも、現状の邦楽のR&Bアーティストに積極的にやって欲しいのが、このスタイル。HIPHOPアーティストを積極的に取り入れるという行為、それも、HIPHOPアーティストにTrackまで任せてみればもっとおもしろかったと思います。まさか、彼らが真っ先にやるとは、思いませんでした。それに曲としてもとても面白くて聴き所がたくさんあります!そして、この年の曲の中でももっともR&B然とした作品でもある「Body Calling」と「DAWN~夜明け~」これをSOULといわないで、何をいうの?っていうぐらいすばらしい楽曲です。それに、ちょっと抑えた歌い方も、できるんだなーと改めてうまくなったんだなと感じた。
デブラ・マイケル・フォックスという作曲家がいいんですけどね、それの要求をちゃんと自分なりに消化できた彼らの凄さでもあります。日本にはこの作曲家の注文をしっかり自分なりの味で料理できるアーティストは少ない、無論消化できても、それを表現できる幅の広さがなければいけない。それをちゃんとこなせている彼らは、すばらしいと思う。個人的にはこういう路線で今後いって欲しいと思います。この2曲はいい曲ですよ。
さらに、「告白」もシングル曲としては唯一いい雰囲気とMellowな曲の流れをもつ曲。どうせなら、こういう曲でブレイクしてほしかったものです。「Get Me On」では、酒井さんがいい声です・・・。唯一癖がないスマートな声をしています。地味にいい曲。あまり、「FRENZY」みたいなべたなUP路線は、あまり好きじゃないです。
「残照」、「真夜中のコーラス」、「約束の季節」などは、ゴスペラーズらしいともいいますが、彼らのPOPさを前面にだしている曲達です。全体的にも長く聞ける曲が結構あります。POPS路線の曲もありますが、しっかりとした曲も多く入っています!

久保田利伸 / United Flow

01.United Flow~Foreplay~
02.まんまでGO
03.無常
04.DO ME BABY
05.Respect(thes&that) ~Exteneded Funky Jam Version~
06.My Bad
07.Heaven?
08.United Flow~Replay~
09.Because of U
10.Free your Soul
11.MOONSTRUCK
12.Candy Rain
13.In your flow~External Flow Version~

(概説)

アルバムの統一感という言葉をよく耳にする。それは、なんだろう?バラード中心だとか、そういう曲調に対するコメントなのだろうか?僕は違うと思っている、よく久保田が言葉にするGROOVE(グルーブ)これこそが、そのアルバムの統一感を作り出す鍵だと思っている。そして、このGROOVEを作り出すのものとして、アーティスト本人による技量や温もり、雰囲気が非常に重要なファクターとなりえる。ただ、「プロデューサーに作ってもらいました!ハイ歌いました!」という歌い手の人では到底作り出すことは出来ないし、確固たる自分のあり方をもっているアーティストじゃなければ、この統一されたGROOVEを持つことは不可能である。
それは、特にこの日本では難しい、POPを得意とする歌手でも流行があれば、音楽の音ごと変えなくてはならないからだ。特に最近R&Bと認知されている人に限ってそういうにわかじこみのアーティストが目立っていた。本当にR&Bが好きで、それが好きで好きで、歌いたくてたまらなくて、うたっていなくては、気持ちを込めて歌えないではないか。そう、この久保田のアルバムを聞きまずそんなことを思ってしまった。このアルバム今のR&Bシーンに一石を投じるには十分に重みを持つ一枚である。歌のうまい歌い手がいればいいというものではない、もっと内面からにじみ出るものがなくては、R&Bとしては、やっていけないし、聞く気もしない。そんな基本的なところを思い起こされた。(ちなみに、GROOVEとは、本来レコードの針を入れるレコード盤の溝をさす。そこから、どう派生したのか知らないが、最高の演奏や、パフォーマンスに対していうようになった。だが、僕がここで使うGROOVEは、もっと違う意味である。雰囲気とか快感を伴うほどの気持ちよさを指していっている。だが、それだけでは書ききれないもっと深いものがあるが、それは、このアルバムを聞けばわかるであろう、僕はこういう空気を感じたくて、せっせとR&Bを聞いている。)
肝心のアルバムといえば、これを聞かずして、今年は始まらない!それほどの完成度とインパクトを持った一枚である。この久保田独特のFLOWの中、溢れるGROOVEが、聞くものを最高に気持ちよくさせてくれる。音の作り方や、フェイクなどは、今までに作り方に比べるとシンプルで、とても潔く気持ちがいいアルバムでもある。特に昔はフェイクを多用していたのが、久保田の特徴だったのだが、今作ではそれが随分減ったように感じる・・・だが、それを補って余りある大人なR&Bの雰囲気を持つ曲調や歌いまわしをしているので、その歌に酔わされてしまう。しかも、今作は転調がキーワードになっている。なんどか、その場面は現れるのだが、ここで、そういう転調をしますか!という驚きと、くぅ~!っていう一緒に歌いたい!というぐらいの快感を味わうことが出来るのである。久保田の声も、これだけR&Bアーティストが出てきたから感じることなんだが、Only Oneな歌声とリズムをもった人なんだということを今更ながら思い知らされる。それほどの凄いアーティストを聞かない手は無いだろう。
とにもかくにも、1曲目のIntroから聞いてみて欲しい。僕は、すでにこのイントロで久保田利伸の新しい世界が、目の前にバッと広がってしまったのである、彼は日本ではベテランであるが、まだまだ成長途中であり、これからも、ずっと成長しつづけて、僕等リスナーに新たな感動と、快感を与えてくれるのであろう。本当にアメリカでの3作目が楽しみになる内容である。また、昔、僕は、久保田の歌詞はよくわからなかったが、今では痛いほど分かる。それも、今の自分にとっては嬉しいことである(要は自分が子供だったということ)。一枚通しても短く感じるほど、素晴らしい曲がちりばめられたアルバムである。
オススメ:(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7),(8),(9),(10),(11),(12),(13)全曲

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Heather Headley / this is who i am

01.He Is
02.Nature Of A Man
03.Fallin’ For You
04.I Wish I Wasn’t
05.Fulltime
06.Like Ya Use To
07.Always Been Your Girl
08.Sunday
09.Four Words From A Hartbreak
10.Sista Girl
11.Why Should I Cry
12.If It Wasn’t For Your Love

(概説)

今年度1,2を争う素晴らしいアルバムが出てきました!こりゃーJam&Lewisが絶賛するわけですよ。なんといっても、この声です!女性アーティストとしては、理想とも言えるSOULな歌声を持っていて、SOULに歌うんじゃなくて、歌う声にSOULを匂わせることができる素晴らしい声の持ち主です。
彼女は、Jam & Lewisがプロデュースに深くかかわっていまして、実は女優が本業!ミュージカル「アイーダ」という作品でトニー賞を受賞していたり、数々の輝かしい功績を持っていますが、その声は素晴らしいと定評だった彼女のデビュー盤。日本で女優・・・っていうと、なんか倦厭されがちなのかもしれませんが、本当にこの人の歌声は素晴らしい!そこら辺のやわなR&BSINGERでは、まったく太刀打ちできないほどの迫力とと表現力、そして大いなる包容力をもった優しく力強い声を持った女性です。この細い体のどこから・・・というほど素晴らしい。この声こそまさにSOULという言葉がぴったり来る声でしょう。そして、彼女の声は、非常に表情が豊かなんです、時に激しく、時に包むように、時に優しく囁きかけてくれる、本当にオールラウンドなSINGERになることでしょう。素晴らしいとか言いようがない声です。もちろん、作品も素晴らしくどの曲も各プロデューサーがこの素晴らしい声を活かし切ろうと、素晴らしい楽曲の目白押しです。特に4曲目Jam&Lewis作曲の「I Wish I Wasn’t」傑作と呼ぶに相応しいバラードです。さすがJam & Lewisといいたくなる、Basicでありながら、最高に染み入るBalladです。うー、こんな素晴らしい曲があったら、買いたくなりますよ。
そう!この1枚地味にProduce陣も素晴らしいんです!Jam & Lewisもちろんのこと、Deborah Coxや、Dallas Austin、そして、D-Influenceなど一流のプロデューサーが最高の曲たちをそろえ、そして、Joshua Nileなど、新人のプロデューサーも素晴らしい楽曲を作り、アルバム全体として、彼女の歌声が堪能できるようになっています。
女性アーティストが元気な今年ですが、こんなに声がいいアーティストは今まで出現していません。是非、今年のBESTアルバムとも言うべきこの1枚!絶対に聞いてみてください!全曲オススメです!
オススメ:(1),(2),(4),(5),(6),(7),(9)

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DONNIE / the colored section

01.Welcome To The Colored Section
02.Beautiful Me
03.Cloud 9
04.People Person
05.Big Black Buck
06.Wildlife
07.Do You Know?
08.Turn Around
09.You Got A FriendL
10.Heaven Sent
11.Rocketship
12.Masterplan
13.Our New National Anthem
14.Colored Section, The

(概説)

ついにでたDONNIEのデビューアルバムです。「Do You Know?」がR&BだけではなくDeep Houseの世界からも絶賛された幅広い支持層を持つアーティストです。まず彼の声を聞いて思うのが、Stevie Wonder・・・このフォロワーは最近になって山のように出てきていますが、彼はそれと一線を課すものがあるのです。それは、曲全体から沸き立つ高揚感・・・そうStevieをよく聞く人なら、彼のどこか前向きな気持ちに慣れる、声と「サウンド!」を覚えていることでしょう。このサウンドを現在に再現しようとすると、どうしても最近のNew Classic Soulが再現してしまった暗めなSOULよりになるところを、彼は、ボサノバというものをうまく取り入れることで、どこか能天気で陽気なSOULを再現しているんです。
そして、どの曲もどこか懐かしさを思い起こさせるサウンドと、大らかで滑らかな懐の深いDONNIEの声が楽しませてくれます。彼は自作自演家であり、ほとんど全ての作詞作曲を行なっています。そして、このメロディーラインの豊富さは驚嘆させられます。今、これほどアフリカンでかつSOULっぽいコーラスやボーカルを体現できるアーティストはほとんどいないでしょう。要注目の新人です。
これぞ2002年度版のSOULアルバムというに相応しい内容です。SOUL好きなら、必ず聞くべき太陽のような照らし出す明るさをもったアルバムです!一度ライブで彼を見ましたが、見た目と違い・・・大違いで、おちゃめなんですー!びっくりー。この顔でお茶目だとは・・・なんか、サービス精神旺盛みたいです。
あと、はっきりいってだれだれっぽいと言う言葉は、嫌いなんですが、彼に関しては、本当にStevie Wonderのいいところどりって感じの暖かな歌声とトラックです。似てるというよりもStevieが活躍した頃のサウンドの雰囲気を見事に表現しているんです。70年代の音を今に蘇らせた傑作の誕生です。どの曲も素晴らしい一枚ですよ!
オススメ:(3),(4),(6),(7),(11),(13),(14)

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Tank / One Man

01.Interlude feat Adimu Colon
02.One Man (Intro)
03.One Man
04.Supa Sexy
05.My Place
06.Unpredictable
07.Cake And Ice Cream feat. Heat
08.Close feat Mowett
09.I’m The Reason
10.Make Me Wanna Sing feat.Sparkle
11.Let Me Live feat.Mannie Fresh And Jazze Pha
12.Party Like A Thug feat Baby Da No One Stunna
13.I Wanna Be That feat.Jazze Pha
14.No Why
15.Club
16.So Many Times
17.Better Man
18.I Still Believe

(概説)

傑作!去年地味にカッコいいUPがそろった素晴らしい隠れた名盤的な作品を残したTankの2ndアルバム(前作はなぜか国内版になっててビックリ!そんなに売れたんだろうか・・・)。前作を踏んで、今作もUPなのかなーと思ったら、一気に勝負にきました。これがバラードの連続!プロデューサーであり、シンガーであり、作曲家であり、その第一人者Joeなどの地位をモロ目指している彼としては、本当に勝負に出ました!という感じでしょう。前作でもUP以外にちょこちょこあったバラードが素晴らしくバラードアルバム作ったら傑作になるだろうなーと思っていたら!ついに出してくれました。
地味に今年は同時期に出したDave HollisterのアルバムでもProducerとして顔を見せていますし、歌以外のお仕事が結構忙しいようです。でも、実はメジャー落ちなのかな・・・Virginから、Blackentertainment(これ、メジャー?)へー。まあ、プロデューサ業として忙しい彼としては自身のアルバムは自由に作れる環境があってるのかもしれません。でも、早いなー。ホント一年足らずで、2ndアルバムの発売ですー。
そして、この一枚が素晴らしいバラッドアルバムに仕上がっているのです。聞けば聞くほどに味が出てくる1枚です!なんといってもタイトル曲『One Man』の出来は素晴らしい!このマッタリとしたエロエロ具合はなかなか出せませんよ。久々に、バラード好きな人の心を満たしてくれる長く聞けるアルバムでしょう。
この濃いGROOVE感こそが、彼が一流のSingerである証拠でしょう。濃く濃くネットリと盛り上がるわけじゃなく、ひたすらスローバラードが続いていきます。ホントまずは聞き込んでください。そしたら、良さが滲み出てきますよ!マジでこの1枚今年のベストバラッドアルバムかもしれません。夜二人で聞きたいアルバムですね。地味な良曲多すぎ、バラードはホント全てが素晴らしい!HIPHOPっぽい曲も多数あり、飽きが来ないアルバム全体として統一感が取れた素晴らしい出来です。
似たような作品としてDave Hollisterの最新作もありますが、こちらの方が数倍濃いですね、バラードが好きな人は是非こちらをオススメします!ひさびさに、夜使えるアルバムですよ。
最近はリリースラッシュで見向きもされないんだろうけど、こんなアルバムこそ売れて欲しいですね。
オススメ:(3),(5),(7),(10),(11),(13),(14),(17),(18)

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