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Producer Interview Vol.5

村山晋一郎 Vol.2

Q12.プロとアマの違い見たいのはありますか?
・はっきりとした境界線がある訳ではないですがやはり圧倒的なスキル、センス、精神力、コミュニケーション能力でしょうか。などと言っているうちに段々自分に自信がなくなってきました(笑)。

Q13.村山さんが考えるプロデューサーにもっとも必要なものは?

・前述のスキルやセンスもそうですがやはりその基本となるマインドでしょうね。これはどんな仕事をしていても同じだと思います。

Q14.大好きな一曲を上げてください。(できれば、自分で作ったものと、他の人の物と一曲ずつ、理由なども簡潔にお願いします。)

「一曲ずつとはなかなか酷な質問ですね(笑)。
自分の曲部門では自分のアルバムの曲を挙げたいところではありますが、歌と生楽器と詞とミックスの完成度というところでやはりFull Of Harmonyの「You & I」に譲らざるを得ません。
他の人の曲部門ではCarl Andersonの「Pieces Of A Heart」という1990年のアルバムに収録されている「If I Could」という曲にしておきます。ジャズ、フュージョン、AORにどっぷり浸かっていた大学生時代に良く聴いていました。Ron Miller/Ken Hirsch/Marti Sharronという人達が書いた曲で僕の知る限りではこのバージョンがオリジナルで後にCeline Dion、Ray Charles、Barbra Streisand、Michael Boltonなどもカバーしているクラシック・AOR・バラードです。子を思う親心を歌った曲で、洋楽で唯一歌詞だけでも号泣できる曲でもあります。」

Full Of Harmony / You & I
すいません〜酷でしたね(笑)Carl Anderson是非聞いてみたい!AORの影響見たいのは楽曲にも見て取れますもんね。 ただの黒いBlack Musicをやっているんではない、絶妙なバランス感覚を村山さんの楽曲では感じます。

Q15.ネットなどで認められた新しいプロデューサーが最近はデビューしてきたりしていますが、自分の頃と違うなと思うところはありますか?また新しい方々に求めるものは?

「最近の若手のプロデューサーさん達は驚くべきスキルとセンスを持っている人達ばかりで、正直「負けてらんない!」と思いつつも「そろそろ自分の仕事が無くなる前にどこかに就職しなきゃ」(笑)とも思わされてしまいます。
自分の頃と違うと思うのはやはり制作そのものにより時間をかけられるといった点かと思います。
私がトラックメーキングを始めた頃はいろんなハードウェアを揃えなければならず、それらを買うためにバイトをして時間を割かれ、設置したり接続したりするのに時間がかかって、それぞれの使い方を習得するまで時間がかかって、思い通りの音を出すためにいろいろと工夫をするのに時間がかかって、録音等を行ってもデータを処理するのも時間がかかってといった感じで、しかもトラックを作り始めるまでの過程のノウハウはほとんど後々役に立たない(笑)。
プロになってからもまだパソコンベースが主流ではなかったので自宅の機材を畳んで車に積んで、スタジオに機材を搬入してセッティングして、レコーディングが終わったらまた機材をバラして車に積んで、自宅に機材を搬入してセッティングして、といったことを繰り返していたので、今とは時間配分的にも肉体的にも精神的にもだいぶ違う様子でした。利点としては今はパソコンでシミュレートされている本物の機材をずっと自宅やスタジオで使ってきた経験があり、またスタジオでエンジニアさんが行う作業にずっと真近で立ち会う事ができたのでそのプロフェショナルなエンジニアリングや音作りのノウハウを今の自宅作業に活かせるといった点だと思います。 」


今よりも全然ハードな職業だったんですね・・・若干気が遠くなりかけました。機材ごと運ぶのが、今じゃ〜パソコンのデータだけですものね・・・
そういう面では、今のProducerはだいぶ楽になりましたねー。エンジニアっていうのも、やっぱり音作りには欠かせない役割なんですね。

Q16.このアーティストをプロデュースしたい!っていう人を一人上げてください。こんな風にプロデュースしたいなど。あと、その理由も(洋邦、古今問いません)。

「いっぱいいるんですがその中でも安室奈美恵さんですね。ポップアイコンとしてトップにいる存在だと思うので。思いっきり洋楽っぽいことやってみたいです。」

Q17.今まで様々なアーティストを手がけてきたと思うのですが、一番印象的だったシンガーは誰ですか?その理由は?

「皆さん印象的でしたが、あえて挙げるとすると平井堅さんでしょうか。歌唱力がダントツで作業が早かったですし、なんといっても私の自宅まで来て息子と遊んでくれましたから(笑)。 」

Q18.また、今までで一番大変だったお仕事はなんですか?プロデュースする上での苦労話などあれば教えてください。

「歌を録っている最中に急に泣き出したアーティストさんがいて、理由がはっきりしなかったのでとっさの対応に困ってスタッフ一同固まってしまったことがありました。明るいアップな曲なのに(笑)。その時はただただ時間が全てを解決してくれました。あと苦労という程のものではありませんが、ブースではなくコントロール・ルームでしかもヘッドホン無しで歌を録るというプログラムがあり、アーティストが録っている最中は回りの人達は身動きができず、背中がかゆくても掻けなかった(笑)ことがありました。その他にプロデュース仕事ではありませんが、花粉症持ちなのでその時期に仮歌やコーラスの仕事を頂いたものの思い通りに歌えずクライアントさんに迷惑を掛けたことがありました。この場を借りて改めてお詫びします(笑)。」

精神的な部分もアーティストは大きいから、気を使いますよね。って、この場で(笑)花粉症は歌い手には、天敵ですよね!

Q19.村山さんは様々なタイプの曲を書きますが、特にバラードでは、とても美しい曲を作られるなーと感じるのですが、美メロと呼ばれる曲をつくるコツは?

「やはり聴いてきた音楽が影響していると思います。日本もアメリカも美メロで溢れていた80年代育ちですから。メロディーを書くアプローチに関しては古い楽曲程参考になると思います。」

80年代・・・いいなー。その頃にいい歌を聞きたかったです。
70〜80年代は、ほとんどのメロディーがオリジナリティー溢れていましたもんね。

Q20.もともと歌い手を志望して、現在シンガーとしても活躍されていますが、歌い手としての村山晋一郎と、プロデューサーとしての村山晋一郎は、自分の中で違うのでしょうか?それとも同じスタンスなのでしょうか?

「歌い手とプロデューサーという違いはあまり意識したことはありませんが、他のアーティストと組む場合はあくまでアーティストが主役だと思っていますのでアーティストが表現したいイメージやコンセプトを中心に考えますが、自分の作品を作っている時はセルフプロデュースなので自分の頭の中だけでイメージが回っている中での作業になりがちで、そういう意味で違うスタンスかと思います。」

セルフプロデュースでの難しさみたいのは、ありますか?

「自分に対して客観性がなくなるので、自分のスキル以上のパフォーマンスを追求してしまい「もっと上手く歌えるはず」と勘違いしてしまい歌のレコーディング時に終わりが無くなってしまうんです。だから誰かが止めないといけない(笑)。
「軌跡」のボーカル・レコーディング時にはエグゼキュティブ・プロデューサーであるファイルレコードの佐藤善雄社長が立ち会ってくれたので絶妙のタイミングで舵取りをしてくれました。佐藤さんはラッツ&スターや最近ではゴスペラッツのメンバーさんでもあるのでアーティストとしても私の大先輩、レコーディングの時など長年の経験を生かした適切なアドバイスで随分と助けていただきました。」

ファイルレコード

Q21.Delightful Musicでは、何人か、プロデューサーの方にインタビューをしているのですが、共同プロデュースとかそういうこともあるんでしょうか?

「それが結構あるんです。K-Muto君、Michicoさん、T.Kuraさん、春川仁志さん、藤本和則君、manaboon君等とコラボレートしたことがある他、初めて自分の曲を外部アレンジャーがアレンジしたのが今のNao'ymt君だったり。T.Kuraさんに限ってはTiAというアーティストの作品で恐れ多くも彼の曲をアレンジさせてもらったり。 uruさん、今井了介君、DJ Yutakaさん、松原 憲さんと一緒に韓国に行ってBadaというアーティストを手掛けたりしたこともあるんですよ。最近はSTY君の作品にもちょこっと出させてもらいましたし!いずれも素晴らしいプロデューサーばかりで、非常に光栄に思っています。」

・・・さすが有名な名前がたくさん!すごいですね、ホント第一線でやってたからこそですねー。STYくんのは、Missin Uですね!あれは素敵でしたー!

Q22.今度どんなシーンへ変えていきたいですか?

「ますますR&Bが市民権を得て、より優れたアーティストやプロデューサーがどんどん登場して、多くのリスナーが善し悪しを判断する耳を養える環境を作りに貢献したいですね。世界的にも「日本のR&Bは質が高い」と言われるまでにシーンが成長するのが理想ではないでしょうか。」

Q23.将来の夢を聞かせてください。

「プロデューサー、クリエーターとしては死ぬまでに一度本物の演歌に携わってみたいです。やっぱり日本人なので。
アーティストとしてはとにかくもっと成長して優れた作品をリリースしたいですね。ファーストアルバムをリリースして課題が山積みになりましたし。
先の将来の夢としては漠然としてますが音楽活動とは関係なく慈善事業や環境保護事業に携わりたいと思っています。
あと今まで各アーティストに提供した楽曲で自分でも歌いたい曲を集めてセルフカバー・アルバムを是非作りたいです。洋楽のカバーアルバムなんかも作ってみたい。またボーカリストとして客演したり、シンガーに徹して他のプロデューサーさんにプロデュースしてもらえたら楽しそうだなぁといつも思ってます。」

村山さんと演歌・・・想像もつかないコラボですね。
セルフカバーは是非是非!やってください!

Q23.これから、プロデューサーを目指す人たちに一言!
・頑張って一緒に日本のシーンを盛り上げていきましょう!!!

本当に村山さんありがとうございました。村山さんの丁寧な受け答えのおかげで、物凄い濃くて、いいインタビューをすることができました!

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