Eric Benet / Hurricane

01.Be Myself Again
02.Pretty Baby
03.Hurricane
04.Where Does the Love Go
05.My Prayer
06.Man Enough to Cry
07.I Know
08.India
09.The Last Time
10.In the End
11.Making Love
12.Cracks of my Broken Heart
13.I Wanna Be Loved
14.Still With You

(総評)

6年ぶりのアルバム発売、さらに来日して素晴らしいライブを披露し、ついに復活を果たしたEric Benetの通産3枚目となるアルバム!2年ほど前に一度出るといったきり、音沙汰がなく、寂しい思いをしていましたが、ついに復活しました!うれしい!内容的には実生活の波乱を写すように、今までよりも、より内向的な面が強くなり、Eric Benetのこの2年ほどの苦悩が表れたような切なくも、美しい曲が多く、聞くものの感情に訴えかけてきます。
現在のシーンは、フィリーソウルや、ネオソウルなど、はたまたクラシカルソウルへの回帰など、また新しい感じでSOULサウンドを取り入れる形態が流行ってきて、以前のNew Classic Soulの世代に活躍したアーティスト達がそれをまたどのように受け入れて、昇華するのかな?と思って聞いていたのですが、よりシンプルな形態へといったんですね~。1stで見せた曲のメロディーの美しさにさらに磨きをかけその表現力をさらに増してきました。
ただ、その代わり2作目や去年でたシングルで見せた、解りやすいミッドテンポな打ち込みのサウンドの広がりは影を潜めてしまっていて、サウンド的な面白みとかはあまりありません。でもその分、彼の歌声やその歌声を生かすメロディーなどはもう申し分ないです。でも、アコースティックなサウンドでシンプルに見せるのもいいんですが、もう少し打ち込み系を混ぜ合わせてくれてもよかったかな。誰もが彼に対しては、過大な期待を抱いているだけに、賛否両論あるでしょうね。でも、彼が復活してくれたことがうれしいです。歌的には、Eric Benetの素晴らしい表現力が豊かで歌唱力のある歌にただただ納得させられるばかりでした。彼は、歌がうまいとか、声がいいとかいうアーティストではなく、その絶妙な感情表現を可能にするその表現力こそ彼の歌声に魅力だと感じているので、それはシンプルな今作では、これでもかと感じることができます!暗くも切ないそんな曲調も彼の売りなのですが、13曲目で見せたような、とてもSweetなLOVE BALLADが今作ではほとんど見られませんでした、これには精神状態もかなり影響しているのかもしれないですが、やっぱり、「Spend My Life With You – Benet, Eric & Tamia」で見せてくれたSweetな感じがもう少しアコースティックな中にも欲しかったです!曲調がちょっと単調になっちゃってますね・・・残念。でも、アコースティックなサウンドが中心なアルバムの中ではここ数年でもかなりいい作品ですね。
思い入れが深いアーティストだけに、なかなか評価の分かれるところでしょうね、あ~Love Don’t Love Meは結局サントラ曲になっちまったな・・・あとは、D’Angeloの復活を望みます。
オススメ:(3),(5),(6),(10),(11),(13)

(曲解説)

01.Be Myself Again

一曲目から、アコースティックなギターが奏でるフォークカントリームードな一曲に面食らってしまうんですが・・・え?Eric?と思った人も多いでしょう。正直・・・今だにどうなのかな?と思うところはあるのですが、さりげなくこういう飾り気も少なく、サウンドの音数もまったくない曲で安定した歌声を披露してくれることで、彼の声の魅力は落ちていないんだなということを再認識させてくれます。

02.Pretty Baby

2ndアルバムで見せてくれたようなちょっとダークな雰囲気と、美しさがあるメロディーラインの絶妙なバランスを見せる一曲です。もう少しサウンドに厚みがあってもよかったかなとも思いますが、それでも十分に彼の淡い美しい歌声に癒されてしまうことでしょう。エレピが出すぎず、さりげなく奏でられるのも、全体的に控えめなサウンドを引き立ててくれます。徐々に声の厚みが増していく後半はたまらないものがあります。2ndも好きな人もこれには納得でしょう!

03.Hurricane

ファルセットで聞くものを涙涙で濡らせてしまう、このシングル曲の出来は、ここ数年のアコースティックなR&Bバラードの中でもかなり上位にくる、切なさをもっています。ただただその美しい歌声に見をゆだねてしまいたくなりますね。後半転調してからのファルセットを織り交ぜて泣かせて、徐々に力強さを見せてくれるボーカルがまだEric Benetの表現力の豊かさを再認識させてくれます。彼はその独特の表現力が魅力ですからね。

04.Where Does the Love Go

FUNKなサウンドのイントロで幕を開け、揺らめくように妖艶に歌い上げていきます。1stアルバムで見せた彼独自のSEXYなFUNKNESSの世界を、垣間見せてくれます。ちょっと1stほどの力はないですが。でも、こういうちょっと妖しげな雰囲気を併せ持った曲調は彼独自ですね。サウンド的には同じプロデューサーながら、1曲目とは違ってちゃんと4曲目ではEricの魅力を引き出してくれています。

05.My Prayer

このアルバム随一の心を切り裂くほどに切ない哀愁バラード!これは名曲でしょう!これだけメロディーと歌だけで、聞かせるバラードがまだ書けるなんて、Eric Benet素晴らしいです!そして、このプロデューサーWALTER AFANASIEFFとの相性が抜群にいいのです・・・さりげない音使いで、線の細くも感じてしまうこの歌声を最大限に盛り上げてくれます。泣きギター入れてくるところなんて、反則技ですわ。最後の壮大な雰囲気には思わずホロッと来てしまいます。

06.Man Enough to Cry

哀愁漂うバラードから一転、優しく包み込むような一曲を見せてくれます。転調してからのメロディーラインが秀逸です!曲としては、とても素晴らしい一曲ですね!本当にステキなホッコリとさせてくれるような雰囲気をもっています。でも、Eric色ではないかもね。

07.I Know

淡い感じにファルセットを使ってバックコーラスが歌い上げていきます。そこに軽いタッチで絡んでいくEric Benet。聞いていて、さらっと流せるようなそんな感じの一曲です。ちょっとこういうフォーク調やカントリー調な曲調がさりげなく混ざった感じが、このアルバム多すぎるかな・・・もう少し流れが違うUPテンポや、お得意のカバーとかも聞いてみたかったかも・・・

08.India

自分の娘に書いた曲で、優しくアコースティックギターがさりげなく絡み合い伸びやかで、透き通る歌声に癒されます。とてもいい曲だと思います。うん。さすが、DAVID FOSTERですね。メロディーが美しい曲を書いてくれます。

09.The Last Time

とてもお洒落な雰囲気のJazzyさも兼ね備えた一曲!どうせ、こういう方向に進むなら、この路線を望みます。Jazz Pianoがもうアーバンでたまらんですよ!心地よく聞けますね。

10.In the End

スマートな感じの歌で、Eric Benetの情熱的な歌いっぷりが見事に引き立っていますね。なんか、押し付けがましくなく、でも心に残るように聞こえてきます。やっぱりこういう感じの曲は、サウンドも重要だよなと感じてしまいます。

11.Making Love

低音の歌声がバックでなって、その上でゆったりと歌いつないでいき、ファルセットを交えた魅惑的なHOOKを見せ付けてくれます。こういう美しいメロディーを見せられると、気分もあがりますね!淡いファルセットを交えたHOOKのメロディーの美しさだけでも、十分にこの曲は聞く価値ありですよ!情熱的な歌いっぷりに痺れます・・・。

12.Cracks of my Broken Heart

ピアノが美しくメロディーを奏で、しっとりと聞かせてくれる一曲です。やっぱりねー、アコースティックギターを多用したバラードよりもこういうピアノバラードの方が、なんか彼の線の細い歌声にはしっくりきますね。徐々に盛り上がっていく後半も気持ちがいいぐらいにEricがスムーズに歌い上げてくれるので、盛り上がります!

13.I Wanna Be Loved

Eric BenetらしいSweetなバラードが展開していきます。この甘い感じがたまらないですよね~、独特のちょっとビブラートを利かせたような歌い方も、しっくり来るし!切ない曲もいいけど、やっぱり彼が歌うなら、こういうSweetな雰囲気が一番似合いますね。SEXYだもん!転調して、力強く歌い上げていくところなんか最高です!やっぱり、WALTER AFANASIEFFわかってますね~~~!

14.Still With You

最後は、ピアノ曲でしっとりと締めてくれます。本来の彼の好きなスタイルを追求したんだなと改めてここまで聞いて、感じさせられます。

(Producer)

HOD DAVID:(1),(4)
ERIC BENET:(1),(2),(11),(13)
DEMONTE POSEY:(2),(13)
GEORGE NASH,JR.:(2)
DAVID FOSTER:(3),(6),(8),(9),(10)
WALTER AFANASIEFF:(5),(12),(13)
HUMBERTO GATICA:(6),(8),(9),(10)
DREW RAMSEY and SHANNON SANDERS:(7)
MICHAEL CARNEY and ANDY DUNCAN:(11)

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