Eric Cire / ericcire.com II

01.After Hours Intro (XM SATELLITE)
02.Always Be Together
03.Can We Do
04.Closer
05.Club Love
06.Conscentual
07.Don’t Give It Away08.Haters
09.I Hate Myself
10.I Love You
11.Like Paradise
12.Lovely Night
13.Mr.Operator
14.When We Make Love

(総評)

2005年衝撃のデビューをかざったインディーソウルシンガーEric Cireの2ndアルバムがでました!その独特の美的センスによって繰り広げられるメローな泣き節ともいえる独特の歌唱法を見せる歌の世界は、一度聞けばどんどん虜になっていきます!あくまで歌声はバリトンなのですが、ファルセットフェイクを本当に効果的に使い、魅惑的に見せるシンガーは他には見当たりません。
歌声も面白いのですが、その楽曲がまたすばらしい!なんといっても前作での「A.I.E.U.O」の衝撃がすごかったのですが、こんなフレーズでこんなにすばらしい楽曲にしてしまうなんて、と驚愕してしまったものでした。前作を周到したメローで淡い切なげなメロディーの曲が多く、その中に、ダンサブルな曲がさらっと配置されていたりと、アルバムを通して、非常に完成度の高いR&B作品になっています!彼はよくAh-Ahというフレーズをさまざまな抑揚をつけたフェイクを多用するのですが、それにファルセットを織り交ぜることで、本当に多種多様なフェイクを可能にしています。それにフェイクのセンスが絶品で、ファルセットってどっちかというと単調になりがちなのですが、彼の使うファルセットのフェイクの多彩さには本当に舌を巻くほどです!そして、バリトンボイスでもあるので、耳につくファルセットじゃなくて、もっと聞き心地がいい感じがするのです。こういうファルセットフェイクを見せてくれるアーティストは彼以外にはいないように思えます。そうして、トラックメイカーとしてもすばらしいものがあり、今作品すべての作品において、R&Bとしても高い水準であることはもちろんのこと、誰が歌っても面白いだろうなというトラックにEric Cireという色をしっかりつける歌唱を乗っけているところがすばらしいのです! 特に12曲目「Lovely Day」の後半のフェイクのすばらしさ、10曲目「I Love You」の心地よく乗れるダンサブルさ、さらに最後の14曲目「When We Make Love」の普遍的なメロディーのよさ3曲目「Can We Do」でのメロディーメイクは、特筆すべきものがありました。そのほかのすべての楽曲が水準以上というかEric Cireということを意識させながらも、水準以上のR&B曲として成り立っているのです!この才能をほってはおかない様で、もうDef Jamから2008年デビューした期待のボーカルグループ”Brutha”のシングル曲「I Can’t Hear The Music featg.Fabolous」のボーカルプロダクションをおこなったりと、DefJamのプロデューサーの一員として活動を開始しているようです。1stも名盤でしたが、2ndもそれに匹敵するより聞く人を選ばない名盤になっていると思います。2008年最高のインディーソウル作品といえるでしょう。 ぜひ手に取りましょう!
P.S:2009年ついに日本にライブにくるそうです!これは見逃せない!オススメ:(3),(10),(12),(14),(6),(1),(2),(4),(7)

(曲解説)

01.After Hours Intro (XM SATELLITE)

最初のイントロから幻想的な雰囲気のEric Cireらしい、ファルセットをうまく使いこなした淡い雰囲気を感じさせる一曲に仕上がっています。イントロのOhOh~という独特な歌いまわしからして、して彼らしい独特な美的センスを感じさせてくれますよ。どことなく泣き節が入った歌い方も、癖になっていく感じで、美しいメロディーのサビにかぶせるようにわざとタドタドしく歌う感じがまた面白いです!サウンドも、ピアノをうまく使いこなしていて一曲目から引き込まれます!

02.Always Be Together

爽やかなサウンドにのって、Eric Cireも心地よく伸びやかな歌声を聞かせてくれて、徐々にサビに向かっていくので、期待が高まるような一曲に仕上がっています。爽やかな歌声とメロディーで引っ張ってさらに引っ張って後半流れるような最後のサビのメロディーが一気に気持ちを盛り上げてくれます。後半にいくほどにフレーズも増えていって、面白さを増していく曲なんです。トラックメイカーとしてもメロディメイカーとしても地力が違うところを見せ付けてくれます!

03.Can We Do

Eric Cire真骨頂ともいえるファルセットを自在に使いこなし、どこか浮遊感がある心地よいメロディーにうっとりするような一曲です!ファルセットが冴えるメロディーにのって、心地よくどんどん昇天していくように、上り詰める歌いっぷりが見事です。ずっと聞いていたい気分にさせてくれますね。メローの真髄でしょう。独特なEric Cireの抑揚のある歌声も曲に幅を持たせてくれています。何よりもメロディーメイクが本当に素敵で、思わず何回もリピートしてききたくなります。

04.Closer

最後にバックボーカルと掛け合いながら隙間なくどんどん歌っていくファルセットが心地よく気持ちがいい!メロディーメイクもいい感じで、最初はCloserというフレーズをゆったりと聞かせるのですが、徐々にそれにかぶさるようにいろんなメロディーが重なっていきながら、聞かせてくれるところは、どちらかというと、ボーカルグループの曲に近い気がします。それほどに多彩なメロディーをもったシンガーなのです。

05.Club Love

ここまでスローでメローなバラッドを聞かせてくれていますが、トラックメイカーとして力を見せ付けるかのようなサウス調のバウンス調のミュージックで、乗りよく聞かせてくれます。もちろんバラッドが一番合うんですけども、こういう曲でもしっかりかっこよく聞かせてくれます。アルバムの中でもいいアクセントになっています。

06.Conscentual

アップサウンドで聞かせてくれたあとは、甘美なスローバラッドでうっとりとさせてくれます。淡い端麗なファルセットが奏でるメロディーの美しさは、特筆すべきものがあります。彼でなければ、この美しさを演出はできないかもしれません。力強くシャウトをかましていく最後の激しさも、かっこいいです!

07.Don’t Give It Away

オートチューンを使った加工した歌声も、T-PAINのように過剰な演出ではなくあくまでさらっとこなしているとこに、センスを感じます。ミッドテンポなビートにのってかっこよく盛り上がるイントロが素敵で、そこから一気に生声での伸びやかな歌が始まるところなんて、圧巻です。これほどうまくオートチューンやデジタル音を使った曲はなかなかお目にかかれません。この曲のかっこよさはメジャーレベルですね~!

08.Haters

ゆったりと語りかけるように歌う一曲。やわらかいメロディーラインをただただシンプルに歌いこむ構成なのですが、それがEric Cireの歌唱力のすばらしさを際立たせていますね。ちょっとした泣き節というか、ファルセットが入ることでまた味わいが違うから面白いです。

09.I Hate Myself

こちらも、ゆっくりとしたテンポで聞かせてくれる魅惑なメロディーがたまらない一曲!1作目を思い起こさせるような切なげなイントロがたまらない!ゆったりとした中にやさしさや芯の強さが伝わってきそうな一曲です。

10.I Love You

2枚目の中でも、特筆すべき一曲!テンポがいいダンサブルなサウンドに乗りつつも、切なさをにじませて、狂おしく歌い上げていく様は、聞いているほうにまで切ない気持ちが伝わってきます。思わず一緒に歌いたくなるようなフレーズもいい感じに響きます。ビート感を押し出しつつも、その淡い歌声に引き込まれていきます。多重録音を使ったメロディーラインの耽美さとそのにのる切なげなシャウトが最後に応酬していくところなんか、完全にやられてしまいます!切ない素敵な曲ですね。

11.Like Paradise

10曲目の流れを汲む流れるようなアップテンポなサウンドが特徴的な一曲。その流れにあわせるように、隆々と激しさをましていく歌いっぷりが気持ちがいいですね。彼の歌は決して積み込むわけじゃなくて、流れにあわせて隙間なく歌っていくような感じではまると最高に気持ちがいいんです!

12.Lovely Night

Eric Cire真骨頂ともいえる淡い感じのスローバラッド!R&Bのバラッドというとどうしても濃い感じがするんですが、彼はあくまでファルセットをうまく使ってさやかさと、濃さの中間とも言える絶妙な気持ちよい歌いっぷりを見せてくれます。この曲でもそれを存分に発揮して、ギターのサウンドにバックに伸びやかにゆったりと歌いこんでいきます。そして最後にサビにかけての気持ちがいいシャウトっぷりが本当に見事です!最後のWay!っていうフレーズにあわせてぐいぐい歌いこんでいく、ファルセットを爆発させるところなんかたまりません!

13.Mr.Operator

シンプルなバックトラックですが、彼の歌声をしっかりと生かせているところが、さすがトラックメイカーでもあるなと感じさせます。今までの曲調とちょっと違う感じがまた面白いのですが、誰が歌っても面白いなと思える曲です!

14.When We Make Love

最後は、やっぱりEric Cireらしい抑揚が効いたフレーズが気持ちがいい一曲です。ずっと聞いていても、すぅ~と自然に耳に入ってくる感じが気持ちがいいですね。抑揚が効いたフェイクを自在に使いこなすところが本当に見事の一言です!それにこの曲は本当に全体のメロディーがよくて誰が聞いてもいい曲だな~と思わせるすばらしさがある普遍的な一曲になっています。後半に向けて伸びをまして高くなっていう歌いっぷりは気持ちいいですね!

(Producer)

Eric “Cire” Crawford:All Song Produce

(Musician)

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