宏実 / True Color

01.Colorful Lady
02.Complete
03.”Hate U”
04.Sweetest Drug
05.One Night Stand (feat.JAMIL)
06.恋煩い
07.万華鏡 (Written by CIMBA)

(総評)

Nao’ymtとの一曲「Recover」で一気に注目を浴びた、かわいらしさと凛々しい強さを両方もった女性R&Bシンガー宏実のアルバムがついに発売になりました。そのかわいらしい風貌からは、想像できない芯の通った力強い歌声と、非凡なセンスを感じさせるフェイクやパワフルなシャウトなど、R&B Singerとしての高い才能を持っているのです!生でライブを見たときに、そのライブの中で自在にその場にあわせて変化していく抜群のセンスを感じさせるフェイクとシャウトを聞いたときに、彼女はまさにR&Bを歌うために生まれたシンガーの一人だと思いました。
彼女自身は、Nao’ymtとの一曲で注目を浴びることになりましたが、その前からの地道なインディーズでの活動、海外での音楽活動など、そのキャリアに裏づけされた力強い足取りとその力を、自在に操るフェイクやフレーズ一つ一つから感じることができます。彼女の魅力はそのライブパフォーマンスであり、これらの楽曲がどのようにパフォーマンスされるのかと思うとわくわくします!
今回の一枚は村山晋一郎、Nao’ymt、U-key zone, T-SK, Sugaya Brosなど大御所から若手までR&B Producerの現在のキーマンともいえる人たちが集まり彼女のサポートしているところから、彼女すばらしさと、そして、宏実やその周りがいかに素敵な繋がりで包まれているかわかるでしょう。どの曲もすばらしいのですが、やっぱり「Hate U」のメロディーとその詞の世界観、どちらもすばらしくこの水準の高いアルバムの中でも抜きんでて素晴らしいのです!そして、村山晋一郎Produceのダンサブルで1曲目を飾るにふさわしい「Colorful Day」も、UPテンポでこそ栄える宏実のリズム感のよさが感じられたり、Nao’ymtとの「Complete」では息もぴったりな雰囲気で、その美しいメロディーにうっとりとしてしまいます。さらに、ここ最近の躍進が目覚しいT-SK Produceの「Sweetest Drug」と「One Night Stand」では、美メロでしっかりと歌い上げた後に、Jazzyなトラックで新しい宏実の魅力を引き出しています。こういうJazzyな曲調で、かっこよくサウンドに乗れるところは、さすがだなと感じさせます。そして、名曲「恋煩い」では、琴の音をこれほどfeatureした楽曲は彼女のこの曲に並ぶものはないんではないでしょうか、しかも宏実自身が幼少から習っていたものを、自身の楽曲の中に昇華していくっていう新たな試みを作り上げていく発想の素晴らしさもいいですよね。もちろんProducer Sugaya Broの力にもよるところもあるでしょうが、自身が日本人であり、それを意識しつつUS生まれのR&Bを歌っていくっていうところのある一つの答えがこの楽曲であることは間違いないでしょう。そして、本当に切ない楽曲で、思わずその詞の世界と、Interlude的な語りにグッと引き込まれます。盟友CIMBA作曲の楽曲でも、他人の書いた曲でもちゃんと自分の色を出せる、その魅力の高さを感じさせてくれます。
ホントこのアルバム一枚でいろんな恋愛を体感できる宏実の詞の世界観も見事ですし、どの楽曲もとても水準が高くて、それぞれの楽曲がまったく雰囲気が違うので、7曲と短いのですが、とても幅広くて満足感が高いアルバムでいながら、もっと聞きたい!って思わせてくれて、とても効果的なミニアルバムになっています。
2008年の女性R&Bシンガーの名盤入り決定でしょう。まさにR&Bバイブルの登場です。これは買っておかないと損しますよー!
オススメ:(6),(5),(3),(1),(2),(4)

(曲解説)

01.Colorful Lady

村山晋一郎プロデュースのダンサブルな一曲、アルバムの最初を飾るにふさわしい勢いがある楽曲で、面白い言葉遊びのような宏実自身のリリックが、このメロディーをよりカラフルに彩っていきます。こういうUPサウンドでこそ彼女のリズム感の素晴らしさを感じさせてくれます。そして最後にかけてのシャウトも見事です。この辺のシャウトにも、彼女のR&Bシンガーとしての非凡なセンスを感じさせてくれます。女性らしいたくましさと、弱さが絶妙に交差する詞の世界観が、とてもリアルで聞き手に響いてきます。これほど芯が通ってパワフルでいながらもJazzやSOULにいかずに、R&Bらしさを失わないっていうのはとても貴重な女性シンガーです。

02.Complete

名曲「Recover」でコンビを組んだNao’ymtプロデュースの楽曲!ただNao’ymt色っていうよりは、宏実の歌のストレートな歌声の良さを聞かせるような暖かく感情のこもったメロディーと、それをより美しく響かせるトラックが素敵です。シンプルさの中に、宏実の歌の芯の強さを、自分の半身を見出した女性の強さを感じさせる力強い歌詞と共に、がっちりと聞かせてくれています。「歌のない未来のようで」って歌詞が歌い手である宏実さんらしさも出せていて、一つ一つの言葉が心に届いてきます。

03.”Hate U”

苦しいほどの、リリックが切ない一曲です。裏切られても、ずっと忘れられない思いを切々と歌い上げていきます。感情豊かな宏実さんの歌声が、一つ一つの言葉にのって心に響いてきます。リリックの一つ一つがとても想いがこもっていて、砕け散りそうな心を感じさせて、一度聞くと忘れられないですね。このProducerのU-key zoneさんと宏実さんの相性って言うのは本当によくて、以前のWebsiteの試聴できた楽曲でも多くの名曲があったのですが、お互いを引き立てるようなトラックメイカーと歌い手っていう感じがします。特に最後にかけての歌い上げていく高音はすさまじいです。女性でもこれほど力強く高音を出せるシンガーはあまりいないですよね。とても切ないけど、名曲だと思います~。

04.Sweetest Drug

プロデューサーのT-SKの奏でる美しいピアノのメロディーから、丁寧に歌いこんでいき、このアルバムの中でも一番流れるようなメロディーのフレーズへとつながっていきます。あえて僕という言葉を使って言うことで中性的で、面白い詞の世界観を作り出して、一途でまっすぐな思いが気持ちがいいほど響いてきます。最後までどこかはかなく美しいメロディーが胸に残ります。

05.One Night Stand (feat.JAMIL)

宏実の新しい方向性を示すであろうファンキーなグルーブと、アップテンポで軽快なメロディーが爽快な一曲!この曲もT-SKのプロデュースで、その楽曲の幅の広さと示しています。この曲では唯一JAMILを招いてRapperとの軽快なコラボレーションを魅せてくれいて、どんな楽曲でも鮮やかにかっこよく歌い上げる宏実のすごさをより引き立てています。最後にかけてのシャウトとフェイクのパワフルさにグッと心を持っていかれます。最後にみんなの声でYeah!っていうのがなんか頬えましかったりします。

06.恋煩い

宏実とその実姉である朋子が奏でる琴の音色が美しい!琴をこれほどfeatureしたR&Bの曲って日本のR&Bの中では始めてかもしませんね。そして、宏実の詞の世界観の完成度をこれほど見せ付けてくれる一曲もありません。きっと世の中の遠距離恋愛をしている二人はこれを聞けばきっと涙してしまうことでしょう。途中で入る電話のInterludeも効果的で、全ての音色や効果音ががっちりはまっている一曲でProducerのSugaya Broの素晴らしいプロデュースワークを感じさせます。最後のかなぐり捨てるようなシャウトも一途であるが故の切なさをこれでもか盛り上げていて見事というしかありません。

07.万華鏡 (Written by CIMBA)

面白い語りかけるようなイントロの歌い方の曲で、やわらかい雰囲気を演出しています。ここでは、R&BシンガーCIMBAが書いたメロディーで歌い上げます。この宏実というシンガーはとても歌に力があって、きっと誰が書いた曲でも、宏実の歌に代えてしまうまさに魔法のような力をもっています。フェイク一つとっても特徴的というか彼女らしさがあるんですよね。

(Producer)

村山晋一郎:(1)
Nao’ymt:(2)
U-key zone:(3)
T-SK:(4),(5),(7)
Sugaya Bros:(6)
CIMBA:(7)

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