KICK THE CAN CREW / magic number

https://www.youtube.com/watch?v=rorwfgNuSj4

01.登場
02.RE-FRESH
03.地球ブルース~337~
04.ストレス
05.mama said~ハタラキッパ~
06.アンバランス
07.ナニカ
08.moving man
09.DJDJ (for RADIO)
10.CAN-CAN
11.TORIIIIIICO! feat. CASSETTE VISION
12.E.L.E.M.E.N.T.S
13.LONELY ONE
14.sayonara sayonara (Album Edit) feat.CUE ZERO
15.magic number

(概説)

1年も経たずに発売された、KICK THE CAN CREW3枚目のアルバム!「magic number」!
彼らの楽しい雰囲気と10代、20代の先に迷う人たちが特に共感できるリリックが存分に詰まった名作に仕上がっています。ここ最近は、地球ブルースや、アンバランスに代表されるように、今までと若干違う方向性をもったシングルが発売された後に出された本作品は、ちょっとどんな風になるかわからなかったのですが、蓋をあけてみれば、彼らの元になるリリックの切なさやパーティーチューンでの楽しい弾け具合!トラックの斬新さなどの根本を大事にしながらも、音的にもトラックもリリック的にも前作よりも幅があって非常に面白いアルバムに仕上がりました。
 前作では、勢いがあってそれはそれで当時の彼らをうまく表現できてる素晴らしいアルバムだったのですが、勢いっていうのが、もろリズムにでていて、リズムが同じような曲が多かったのですが、いろんなビートに乗って、本当に様々なトラックが用意されており、楽しめます。音も、KREVAが曲中で言ってますが、MPC4000という機械を使っているので、様々な音が入り乱れており、音の新鮮さでも聞き手を楽しませてくれます。リリック的には、インディーズ作品では、先の見えない不安を無理やり吹き飛ばそうとするような感じのリリックが多かったのに比べ、1stでは、いままさにがんばってるんだ!ただ我武者羅にがんばっているっていう感じの勢いのあるリリックに変わり、今作では、ある種の成功を手に入れ、だがこれで立ち止まってちゃダメだ、またナニカをしなくちゃ、まだ立ち止まるときじゃない!進まなきゃという感じのリリックが多いです。もちろん、地球ブルースのようにバカ騒ぎっていうのもあるし!彼らは、自分達の成長を聞き手に見せ付けつつ、いつでも聞き手に何かしらの力をHIPHOPを通して心に直接伝えてくれます。特に、「ナニカ」はそういう感じの曲で久々の名曲です!やっぱり彼ら自信は何も変わってなくて、めんどくせえとかそういう言葉が端々にでてくるのが、なんかホッとさせてくれたりもします。一枚通して聞くと、気持ちのよさが残るような出来です。そして、聞けば聞くほど癖になっていく曲がいっぱいあります。あと、シングル曲は結構突拍子もない「地球ブルース~337~」のような曲や、Rapperが歌ってる「アンバランス」も、うまくアルバムの流れとして繋がっていて、一枚を通してスムーズに聞けるようになっています。非常に曲順も練られていて、全体の音や、トラックの幅も考えられた一枚として楽しめる、素晴らしい一枚だと思います。

(曲解説)

01.登場

まずは、堂々としたこの一曲!前作とはまた違う自力のある勢いというか、自信に満ちた感じがよくあらわれてます。しかも、今度のライブでは間違えるなよ!と言わんばかりに、聞き手にきちんとコール&レスポンスを教え込んでいます。みなさん間違えないように、ライブでは、オーオーオー!を一緒に歌うんじゃなくて、オーオーオー!の後に、オーオーオー!って歌うんですよ。もちろん、Clap Your Handのところでは、手を叩きましょう~。これぞ、CREWのRuleだぜ。CREWなら間違えんなよー。なんかこれ、ライブでやったら面白そうな曲だなーと思ってしまいました。

02.RE-FRESH

そして、RE-FRESHでは、軽快なサウンドが聞けば聞くほど癖になっていきます。今までの雰囲気を一新するという意味を込めたこの曲では、本当に新しい雰囲気の曲で、爽やかで、本当にこの曲を聴いてREFRESHできます。ちなみにKREVAがScratchをしています。これ聞くと、彼らの珍道中を一緒に歩きたくなりますよ。まずは、一枚目のような気分で、聞き手も新鮮な気持ちで聞いてみましょう。また、MPC4000の音の良さがわかりますよ。

03.地球ブルース~337~

地球ブルースでは、シングルのときは、面白いけど、突拍子もない曲だなーと思ったのですが、アルバムの中に入ると、しっくり来るから、不思議!このアルバム全体を通しての爽やかな雰囲気が、この曲をまた違ったとして感じさせてくれています。このバカみたく楽しい宴会ソング!もう、最高です!バカ騒ぎにはもってこいです。踊れ~!笑え~!聞けば聞くほど面白い曲です。

04.ストレス

今の彼らの気持ちが垣間見れて、なんかわかるーと思うし、ファン暦が長い人には、共感できるところが多いのではと思います。MCUの「俺の知らねーところでコソコソ~俺を語るな、小さな缶詰で!」っていうのは、ファンも、まわりの人たちも含めていってるんだろうし、すごい大変だなーと共感してしまいます。あと、最後のKREVAの「できるかっつーの!」っていうのは、KREVAらしいです。人の忠告も聞き飽きるんでしょうね。そういう時ってありますよね。LITTLEは、自由奔放でいい感じです。イチャイチャしてえよねー。これは、そのまんま、みんなの日常生活そのものじゃないですか!すごい、身近な話題で、うんうんとうなずくことしきりです。DJ TATSUTAのトラックの音もSOULFULでカッコいい!管楽器の音がいいです。

05.mama said ~ハタラキッパ~

ハタラキッパは、地球ブルースよりも「アーハハ!」っていう女性の声が奇想天外で、ビックリでした。しかも、なんか、Hookが今までのKICKには、ない感じで、比喩表現を使っているのが面白いですね。人生飴と鞭なんだなって思わされちゃいます。で・・・「辛くてももっと働きなさい」ってマジで3人のうちの誰かが言われた言葉なんでしょうね(笑)そんな気がします。KREVAのリリックの「音のJuicyさ加減にうるさい」っていうのは、自分的には、ドキっとしますね。そのうちの一人に入ってるんだろうな(笑)

06.アンバランス

アンバランス!ここで、ジーンと来ます。改めてリリックがいい曲だなーと思います。10代の人には、そのまんま自分について歌われているような錯覚に陥るでしょうね。誰もがこの疑問にぶつかり、その壁に立ちすくむんだ。っていうのを切々と語りかけています。歌を歌っているとか全然関係なく、マジでいい歌です。輝くためには、楽しまないとダメなんだよ!迷ったっていいんだよ。人間ずっとはがんばれないんだ、悩みから目を背けたってしょうがないじゃない。なんか、この歌は、安心させてくれます。この曲にあった爽やかなバックトラックも秀逸なんですよね!

07.ナニカ

このアルバム一番の注目曲が次の「ナニカ」!LITTLEのソロアルバム「Mr.COMPACT」の「ライムライト」のフレーズをサンプリングしています。なんか進路とか人生に迷う人には、強烈に訴えかける一曲で、インディーズ時代の「ユートピア」や「タカオニ2000」のような名曲たちを思い出してしまいます。それほどの素晴らしい一曲!何ってなんなんだよ・・・それを見つけるのが、生きてくことなんだよなー。彼らのメッセージって常に考えさせられるので、素晴らしいと思います。最初の声は、ラーメンズというKREVAが好きなお笑い芸人の声らしいです。トラックもシンプルでいてリリックにあった切なさを持っています。そして、KREVAがScratchをしてて、特にLITTLEのリリックの前でのScratchが秀逸です。

08.moving man

今の彼らのめちゃめちゃ身近な話題である新しい街への引越しをテーマに、マイクをつないでいきます。しかも、それぞれに、サビのフレーズを替えているのが面白い!普通Hookは一種類なのですが、それぞれのMC毎に変えていて、しかもちょっとづつ音程が上がっていくのが面白い。これは、新しいスタイルだと思います。MCUの「暮らしてみよう俺と君と もしくは俺と君と・・・」っていうのが、なんか結婚した彼の姿がイメージがでてきて、焼けます。LITTLEの「はかり知れんこの辛い試練 ここじゃとうてい歌いきれん」っていう韻の踏み方は素晴らしい~。やっぱ、LITTLEの韻の踏み方は見事です!でも、リリックは捻くれてるのが、ちょっと面白い。KREVAのリリックは、なんか本当に等身大で親近感が沸きます。本当にいい歌です。トラックも、ふわふわーとした感じがあって、マッタリしてしまいます。気持ちがいい~。

09.DJDJ (for RADIO)

シュールで彼らが初めて実際自分のしたことのないことをテーマ的にした一曲「DJDJ」確かにラジオのDJをしたことはあるが、実際のラジオDJではないですし・・・この自分の等身大の想い以外のものを歌っているのも、この作品での特徴です。そして、このRadio DJという視点は面白かったです。最後のリリックの韻の踏み方がいい感じなんですよねー。

10.CAN-CAN

HOOKでは、CANの発音が米国(キャン)と英国(カン)っていう発音を違い取り入れたりして、KICKらしい頭使ったHOOKです。こういうリリックや韻の面白さをストレートに聞き手に伝えてくれるのが、彼らの素晴らしいところだと思います。韻の意味を重要視するリリシストもいいけど、韻の楽しさや、HIPHOPの楽しさを伝えてくれる彼らの良さが最高にでていますし、最後の「TORIIIIICO!」へと続くざわざわ感が面白いです!彼らが楽しんでる雰囲気が伝わってきます。トラックは、DJ TATSUTAらしい面白さを感じれるように仕上がっています。

11.TORIIIIIICO! feat. CASSETTE VISION

その「TORIIIIIICO!」は、もうやっぱ、PVを見てわかるとおり、CASSETTE VISIONが代表のダイナマイトファミリーが最近いろいろいわれてることへの返答でしょうね。LITTLEは、シングルカットってことで、のことを歌ってて、KREVAは、アンバランスのRapperが歌ったっていいんだよ。ってことを言ってるし。でも、この単純な盛り上がり感が、Party Tuneには、不可欠なんですわ。この曲では、CUE ZEROのRapが冴えてて、勢いがあってカッコいいです。そして、CHANNELの底抜けに明るい声がいい感じ!CHANNELとMUCのTORIIIIICO!って叫びは、突き抜けるほど気持ちがいいです。これ聞いて盛り上がっておこう!

12.E.L.E.M.E.N.T.S

事務所について歌っているのですが、すごいこの結束力をまざまざと見せてつけてくれます。特に、LITTLEのリリックがいい!事務所の社長でもある、elementsさんのことを気遣ってるリリックを書いてるのが、すごい切なくなります・・・それと、彼らのひた向きさが伝わってきて、ますますLITTLEが好きになりました。やるときはやるのみ!これこそ、彼らそのものです。バックトラックも凄い暗くてこの曲にビッタリハマってます。音でもやられてしまいます。

13.LONELY ONE

カッコいいダンスチューン!かなり、流れるような速さのあるトラックもカッコいいし、好きな一曲です。リリックの力強さもいい!なんといわれても、走り続ける彼らの力強さを見せ付けられます。そう、埋もれるよりは、たくさんの人に聞いてもらうこそ、いいんだ!っていう昔のファンが悩んでいることへの答えも教えています。そして、LITTLEの「なぁ 差別しろって言ったべ」っていうのも、すごい意味がある言葉です。やっぱり、KICKは最高です、俺の中でも特別ですわ!さらに、北海道弁で、ちょっと嬉しいです。売れたからどうこういってる奴は、これでも聞いておけ!

14.sayonara sayonara (Album Edit) feat. CUE ZERO

CUE ZEROが参加して、前曲のスピード感を維持して、このシングル曲を!いい歌です。がんばってる奴らには、最高の応援になる一曲です。なんか音がよくなった感じがしますし、微妙にシングルに入ってたバージョンとは違うんですよね。リリックもトラックも。やっぱ、改めて思いますが、いいリリックかきますわ!

15.magic number

やっぱSmoothなトラックが気持ちよく、ちょっとスピード落として彼ららしいマッタリした感じの一曲「magic number」で、たどり着くところなんてわかんないけど、いくしかないんだよ!っていう前向きに、しっとりと終わります。走り続けている彼らの気持ちをそのまま書き綴ったリリックが、心に染みてきます。MCUの「あるのは、まわりにいる仲間 プラス現実 自分の頭、それだけで今を続けよう、イヤ、それがあるから又続けよう」っていうのは、こういう前向きな気持ちの切り替えができてる、彼らがステキです。そして、KREVAの「まだまだファイナライズなんかしてる場合じゃない!」っていうのが、今の彼らの心境だろうな。って思います。これからも、応援していくぞー!前作とは、また作風は違うけど、これもまた彼らの新しい一面が感じられる傑作です!

☆☆☆☆☆☆(快作)