eill / Pallette

eillちゃんの最新アルバムPalletteをレビュー。

蒼いジャケットが印象的な今までよりもより色鮮やかな楽曲がひしめき合うPalletteのようなアルバムです。彼女の歌声が作り出す表現豊かな雰囲気は、今まではどこか実年齢よりも少し上に感じさせるような大人っぽさがあったのですが、23歳の彼女の等身大だからこそ聞かせられるような深い表現力で楽曲を彩ってくれます。タイアップ曲も増えてきて楽曲のクオリティーも上がっており、ソングライターとして素晴らしいメロディーを、Ryo’LEFTY’Miyataさんとの組み合わせも、毎回様々な楽曲を届けてくれて驚かされます。そんな彼女の言葉も音楽も今が詰め込まれた一枚を一曲ずつレビューしていきます。

eillのメジャー1stアルバムの開幕は、イントロのアカペラの切なくメロウな雰囲気が心地よい。どこか恋愛に溺れていく儚さや危うさを感じさせる詩の世界も素敵で、一気に心を持っていかれます。MVの男女のやり取りもどこか情緒的で切ない怠惰な雰囲気が気だるげで危うい恋の世界を表現しています。最後にキスをさせないところなんか、タイトル通りにどこか危うげでもてあそばれた想い出を見せてくれます。eillちゃんのメロディーセンスは本当に素晴らしいのですが、こういうスローな楽曲でもより魅力的に魅せれるのがメロディーメイカーとしての資質の素晴らしさを感じさせてくれます。もちろんプロデューサーの宮田”レフティー”さんの楽曲のサウンドがあってこそではあるのですが、eillちゃんの楽曲は、ずっと追っかけたくなりますね。
Lyric: eill, Music eill, Katsushiro Sato,南部LTD, Ryo’LEFTY’Miyata

次は、アニメのエンディングとしても有名で、熱を帯びてかっこいい「ここで息をして」で盛り上げます。MVもGANMIとのダンスもシャープでクールな一面にスポットを当てていて、アニメの熱さをそのままに、たとえまっすぐに前を向く芯の強い女性を感じさせます。サウンドもリズムの強さと力強くダンサブルなサビに持っていかれます。そして、最後のギターのリフからの力強い唸り声がこの曲のパワーを感じさせます。この曲自体は結構前の曲なのですが、古臭くはならず、いつ聞いても女性的でありながら強さを感じさせます。eillちゃんとRyo’LEFTY’Miyataさんの組み合わせはサウンドもメロディーも素晴らしく最強ですね。
Lyric : eill , Music: eill, Ryo’LEFTY’Miyata

「23」は、前回のアルバムにある「20」から3年たったeillちゃんの等身大の気持ちを歌った一曲になっています。友人たちと作り出す普段っぽさがよくでたMVと、ロックなギターサウンドで作られるリズムの渋さもあるバックトラックに乗って、前向きで力強さで自信の応援歌のようなロックな一曲になっています。いろいろ悩んだ後に前向ける彼女の強さみたいなのが詰まったかわいらしくパワフルな一曲です。いろんなバックグラウンドを持つ彼女の曲作りの多彩さを感じます。
Lyric: eill , Music : eill, Ryo’LEFTY’Miyata

アルバムタイトル曲でもある「palette」は、自分をいろんな色に彩ってもいいんだと、カラフルなわくわくするような楽曲になっています。MVでも様々な方たちが自分の色を表現していきます。eillちゃんの赤い鮮やかな衣装もパレットというタイトル通りにMVを彩っています。明るくカラフルなサビの雰囲気が一緒に歌いたくなるような心地よさを感じさせてくれます。煌びやかな色合いがPalleteというタイトルの通り明るく鮮やかな味わいの歌を感じることができます。まさにアルバムタイトル曲にふさわしい一曲です。
Lyric : eill , Music: eill Ryo’LEFTY’Miyata


こちらもドラマの挿入歌になっていた一曲「hikari」は、ギターリフからの美しいメロディーラインに酔いしれていきます。彼女の楽曲の幅の広さと等身大の女性の気持ちを表す言葉選びのうまさは、素敵なんです。HOOKに向けてのどこか儚げでいて愛で満たされてhikariを見つけて前に向かっていく詞の世界観と映像美にやられてしまいます。朱い眩しさと、滲む蒼さが綯い混じるような空を見上げて、まっすぐな眼差しをむけるような想いを届けてくれます。
Produced by eill Hayato Taknaka , Lyric : eill Music eill

eillちゃんらしいピアノイントロから、自分を奮い立たせるような「花のように」。自分はこんなもんじゃないのにっていう悔しさや、どこか周りと比べたり一歩が出なかったり、だけど自分自身を信じて自分を美しく強く咲かせる女性への応援歌になっています。この楽曲は本当にシンプルで短いんですが、その分メロディー自体の良さを前面に出してバラードとしての完成度が高くて、そしてシンプルだからこそ彼女の生み出すリズムが歌をより引き立てています。以前の彼女の楽曲ではアップテンポな楽曲が多くR&BやK-POPなど様々なバックグラウンドを感じさせる曲も多かったですが、今回はそれらをベースにしながらもシンプルでいて、女性らしく20代の情勢の等身大の言葉が紡がれている素晴らしいバラードを今回のアルバムでは何度も聞かせてくれます。
Lyrics: eill , Music: eill, Ryo’LEFTY’Miyata

そして、シティーポップの流れにのって、竹内まりや本人からも許可をもらった「プラスティック・ラブ」は、シンプルなカバーではなくてYaffleさんによるサウンドアレンジによって今な風を入れながらチルで心地よい雰囲気を作り出しています。彼女らしい切なく儚げでセクシーな歌声で艶やかに歌っていきます。どことなくビブラートがかなりながら、歌うところがR&B的な雰囲気も増してて心地よいです。
Lyrics and Music: Mariya Takeuchi Arranged by Yaffle

個人的にも大好きな「ただのギャル」!強烈なインパクトがある楽曲で歌詞もシンプルで忘れないパワフルな歌唱で、MVでもダンスもしっかりと見せてくれます、そして楽曲手には後半にかけてのどこか終末的な女性コーラスが入っているのも面白くて、歌い方も癖が強めでいてそれが逆にこの曲らしい。思いっきり、私たちそのまんまでいいじゃんっていう感じで世の中にぶつかっている楽曲になっています。ライブバージョンのアレンジも爆上がりでカッコよくて、ダンスもしびれるんですよ!こんなふり幅が大きい楽曲を味合わせてくれるのも、eill ちゃんの魅力ですね。
Lyrics : eill , Music eill , LYNN Arranged by eill ,LYNN

このアルバムの中でも随一の名曲!であり一番のR&Bソング「honey-cage」。個人的にはeillちゃんが自然と滲ませてくれるR&B的な雰囲気のグルーブや、歌い方も大好きで、この楽曲ではそのエッセンスを存分に感じさせてくれます。Rapでの語りも、雰囲気があって、口を開けて声を発するまでの間が感じられるところや歌い終わりの吐息までR&B的なセクシーさを感じるような楽曲になっていて、本当に名曲ですね!シンプルな楽曲の構成もUKのコンポーザーROMderfulが作り出すシンセが作る浮遊感とビートが作るグルーブがまじりあったような心地よさに酔いしれます。籠の鳥のように”きみ”という籠に閉じ込められながら、藻掻く心を見せる歌詞がサウンドと相まって、セクシーさを増しています。
Lyrics :eill , Music eill, ROMderful , Arranged by ROMderful

前回のアルバムにも入っていた「片っぽ – Acoustic Version」もバージョン違いで、ピアノ一本の弾き語りでよりスウィートでしっとりと歌い上げていきます。よりこの曲の持つ美しさが際立って聞こえてきます。すれ違う二人の片っぽな想いを美しく歌い上げていきます!eillちゃんの歌の上手さが本当にこのアルバムでは際立っていて、前回のアルバムとは違う聞きごたえがあるバージョンになっています。この楽曲ではキーボードをeillちゃん自身が引いています。
Lyrics : eill , Music: eill Keyboard : eill

「letter…」相手への想いを手紙に綴りながら、優しいギターのサウンドに乗って、伸びやかにeillちゃんの歌声が響きます。手紙という形だからこそまっすぐな想いが乗った歌詞がしっかりと乗っていきます。フェイクも実に多彩なのですが、音が途切れてからの優しい歌声に心が癒されます。シンプルで美しくまっすぐに相手に向かって語り掛けるように歌う姿が素敵です。
Lyrics : eill , Music: eill, Arranged by eill, Katsushiro Sato

スローな楽曲の後は、明るいeillちゃんらしいかわいらしさにあふれた春らしい「HARU」で盛り上げてくれます。サビの可愛らしい感じがより明るい晴れやかな雰囲気の歌詞を盛り上げています。明るく最後を飾ってくれていて、またアルバムを聞き直したくなります。
Lyrics: eill, Music: eill, Ryo’LEFTY’Miyata

そしてアルバムでは最後は「ここで息をして – Extended Version」も収録されています。違うカッコよさをここでも見せてくれています。

前作までは勢いがあった楽曲だったり、R&B的な楽曲が多かった印象ですが。今回はシンプルに歌を聞かせたり、より挑戦的な楽曲が多かったり、eillちゃんの歌声の魅力やその楽曲制作能力の高さやメロディーメイカーとしてのセンスをより感じさせるレベルアップしたアルバムになっていて、どの曲も面白くて、何度も聞きたくなります。このアルバム後には様々なアーティストからのオファーが止まっていないのも、このアルバムの完成度の高さを表しています。ぜひ、一度聞いてみてください。