Rhymester / グレイゾーン
02.ライムスター曰く
03.現金に体を張れ
04.JIN's ROOM
05.ザ・グレード・アマチュアリズム
06.だから私は酒を呑む
07.911エブリディ
09.BIG MOUTH
10.スロー・ラーナー
11.おぼえてない
12.4'13"
13.グレイゾーン
14.WELCOME 2 MY ROOM
(総評)
キングオブステージことライムスターの待望の最新アルバムです!前作も味があって、いい作品だったのですが、今回はもっと格段にやばいチューンが満載です。Rhymesterらしくサンプリングをたくさん使って、ベースの音がかなり使われていて、Deepでカッコいいサウンドになっています。特に今回はリリックがかなり考えられてて、面白いなーとおもうところが多いです。まじめな部分も、ちょっとおちゃらけた部分もあったりして、じっくりとリリックを聞きながら聞きたい一枚です。盛り上がること必死な一枚!
まず、5曲目「ザ・グレート・アマチュアリズム」のカッコいいことといったら、たまりません。PVでもB-BOYのダンサーをfeaturして、かなり盛り上がるようになっているし、こんなにキャリアがあってもしっかり現場主義だってところがカッコいいんです。また「ライムスター曰く」「グレイゾーン」など彼らの今とこれからを述べた曲では、その個性がなくなることはなく、これからもライムスターは面白い曲を届けてくれるなという安心感を与えてくれます。その他にもリリック的には今回は社会のことというか、もっとも身近な視点で、様々な問題(特に戦争ですが)を見ているのが面白いなと思います。「911エブリディ」など、市民的な視点で、悪いとわかっちゃいるが、どうしようもないしという多くの人の心理を痛切に描いていて、面白い。社会風刺的な一面もあるのも、彼らの年齢的な成長とあいまって非常におもしろいなーと思います。その他にもいろいろと面白いリリックが多く、よく聞くといいこといってんなーと思います。もちろんそんな真面目一辺倒でいける人たちではないので、「JIN'S ROOM」などのJINさんのやりすぎ度合いで笑わせてくれたり、「おぼえてない」みたいなひたすら面白い笑える曲もあったりして、「BIG MOUTH」なんてかなりスキルの高い曲もあったりアルバムのトータルバランス的に長く聞けるいいアルバムだと思います。HIPHOPは主張することがなければ成り立たない文化ですが、30代の3人が作り出すこのアルバムは彼らのまさに今のリアリティーを表現している傑作でしょう。
(曲解説)
01.スタンバイチューン
グレイゾーンの幕を開けるのは、ドラムの弾け具合がいい、ノリのいいこのチューンから!ばっさり他のアーティスト切っちゃったりして短い曲ですが、その分勢いがあっていい感じですわ〜。"怪傑シルバーチャイルド"っていう面白いのをサンプリングしてるのもなんか彼らしい〜。このアルバム結構サンプリングが多彩でそれだけでも楽しめます!
02.ライムスター曰く
Mr.DrunkのProduceのライムスターからのシーンへの言葉がたくさんつまった一曲です。とにかく彼らのいうことを聞けばなんか元気がでる一曲です。まさに観客は彼らを見届けるべし!自分の主張をここまで通せるのってかっこいいかもなーと思います。
03.現金に体を張れ
Mummy-Dのムカツクムカツムカツクゼっていうフレーズがとても楽しい一曲ですが、特に銀行のところと女子高生のところのリリックはなんとも”うんうん”とうなずいてしまうんですよねー。絶妙な面白さとまじめな題材のごちゃ混ぜ感がなんとも特異な感じがしてついつい聞き入ってしまいます。サウンド的にはちょっとベース音のみですが、この曲の雰囲気とあった感じです。こんな金しかも金をもぎ取るぜというのではなく、金を無駄に使う人を扱った題材を歌ったのてあまり聞いたことなくて、ある意味このぐらいシーンで生きてきて年取ったからこそ歌える歌だよなーと思います。
04.JIN's ROOM
Welcome 2 My RoomのサウンドにのってJINさんが暴れるこのアルバム本編の中でも一番笑える一曲です・・・JINさーーん!俺の部屋ってあなた。面白すぎます。叫びすぎというか、ためすぎ&絶叫しすぎです。血管切れそうじゃないですか・・・いやー笑わせてもらいました。素敵だなーJINさん。
05.ザ・グレード・アマチュアリズム
ホントカッコいい!この曲のためにこのアルバム買ってもいいぐらい、ギターのサウンドとドラム音が最高に絡み合いその上を流れるように3人がRapをかましていく、盛り上がる一曲です。リリックも、現場を忘れないRhymesterらしい、アマチュアリズムが素敵です、これ聞いておどりて〜。PV並にかっこよく踊れたら気持ちいいでしょうねー。そして、このすばらしいギターサウンドを展開しているのは、Super Butter DogのTakeuchi Tomoyasuです。絶対要チェックのやばいチューンです!
06.だから私は酒を呑む
かなりスピーディーなRapが展開するMCで、自暴自棄気味なRapがなんとも味があります。宇多丸さんのRapで、「Put Ya ジョッキ Up」はうまいなーと思うしMummy-Dの「MCはかむし すべるし 新しい歌詞忘れてるし」ってフレーズは笑っちゃいました。の最後の、BPM半分にスローダウンからのスピードアップ&スローダウンの繰り返しでのDJ JINさんの自在なターンテーブル捌きが凄いですよ。
07.911エブリディ
聞いた瞬間ちょっと考えさせられた一曲です。サウンド的には、スタンプラリーに似てるのですが、リリックはとても考えさせられました。もちろん911ですから、あのテロのことをいってるのですが、リリックの随所にでてくる、「TVで眺めてる幸せな午後三時」とか、そう確かに悪いとかダメだとか思うけど、実際に起きなきゃ僕らにとってはリアルじゃないし真剣に考えないし行動しないという本当の今の日本人の人たちの心理をまさについてきているのですよ。この揶揄した感じがまさにそうだよ。と思ってしまいました。たぶんねー、これを聞いてあー俺もこうやってちょっと人事のように思っているかもっていうのを感じることがこの歌の目的なんだろうなーと思いました。ある意味すばらしい歌だと思いましたよ。
08.フォロー・ザ・リーダー
そして、こちらは、7曲目から続く感じの今度は、いろんな国を揶揄した感じが面白いわ〜。世界一大人しい納税者は、あなたのことですよ!確かにねー20代の前半や10代の人にはわからんかもしれんけどね、こういうのこそが大人になったHIPHOPアーティストのRapだなと思いました。だって、考えるでしょ?30代にもなったら、こういうこと。社会派な感じよりはハーコーな感じがいいとかいろいろ意見はあるだろうけど、ある意味30代の彼らのリアルな感情をこの二曲は描いているんだ思いますよ。30代のやつが10代のやつに媚び売ってリリック書くよりはぜんぜんまし!
09.BIG MOUTH
いやー、素敵だー。こういうお笑い風もあるのが、Rhymesterのいいところ!特に、Mummy-Dの有名人立て続けに並べたRapは凄いです!良くここまで並べたなーと思って感心してしまいます。でも宇多丸師匠の「マジやべぇ クソやべぇ」もRapになってなくて笑ってしまいましたけど。いやー華麗なRapで盛り上がっちゃいますよ!
10.スロー・ラーナー
スロー・ラーナーまさに、今悩んでる人にはうってつけなRhymesterからの応援歌です。どんなに失敗しても、後で成功すればいいんだぞ、だからまだがんばれよっていう素敵な言葉で応援してくれます。しっかりリリックを見てほしい曲ですね。そして、この曲レーベル名とのGagleと瘋癲の曲が最後にサンプリングされているんですよ。ちょっとなんか、そういう後発の後輩達にも向けた歌なのかなと思っちゃって、いい歌だなと思いました。
11.おぼえてない
アルバム中もっとも問題作品〜!いやー笑わせてもらいました。師匠のRapもMummy-DのRapもすげ〜面白い!特にMummy-Dさんのゴメンネは、反則です(笑)かわいすぎ。師匠の、忘れ気味ナリリックも面白いし、傑作は、Mummy-Dの「上着がオレのじゃねー!」が最高です・・・みなさんも一緒にいってみましょう。さあ!もう一緒に歌ってバカみたく騒ぎたい一曲。きっとこの方たちと呑んだら忘れたくてもおぼえてないことになるんでしょうね〜。
12.4'13"
LITTLEの「Mr.COMPACT」の音楽産業廃棄物というフレーズがサンプリングされている一曲です〜!CDというか、過去のものは過去のもので自分が成長しつづけるという、自分が作った音楽について語るリリックがなかなか面白いですね〜。
13.グレイゾーン
このアルバム、ザグレートアマチュアリズムと人気を二分する人気チューンで、タイトルチューンです。いやーグレイゾーン!という言葉みんなはどう受け取りました?すごい深いんですよ、この意味!「サグでブリンブリンまたはポップセルアウト型にはまればトップセラー」ってリリックが表すように、まさに彼はオリジナルであることこそ、グレイゾーンであり、トップセラーがオリジナルではなく、数段上のグレードであるグレイゾーンにいくことこそ新たな旅立ち、この世界で生きていくことなんだといっているのかなと思います。確かに型にはまったら終わりだよなと思いますもんね。
14.WELCOME 2 MY ROOM
Mummy-Dの「レコードレコードレコードレコード」で思わずどんだけあるんだよ、と突っ込みはとりあえず入れておきましょう。なんか二人の部屋の模様がよくわかるのが、面白い一曲で、結局部屋からでてないんじゃんとか思うんですが、でもそこでがんばってんだぞ!っていうのが良くわかりますよね。John Klemmerの"My Heart Sings"というROCKなギターサウンドをサンプリングしてるのが、新しいなーと感じました。そしてそのギターとベースは、Crazy Ken BandやSuper Butter Dogからバリバリ人を招いていて、Rhymesterの人脈の広さをまざまざと見せ付けてくれています。