村山晋一郎 / 軌跡
02.Reach The Sky
03.たどりつくまで
04.After The Love Is Gone
05.Mind Journey To Infinity 〜interlude〜
06.So Long
07.All About You
08.いつの日か
10.Dignity 〜interlude〜
11.軌跡
12.生まれかわっても
13.未来
14.Hope 〜a cappella outro〜
15.Danger Zone
(総評)
日本でR&Bを聞いている人ならば、アルバムのクレジットでこの村山晋一郎さんを一度は目にしたことがあるであでしょう。R&Bを中心に様々なアーティストのプロデュースを手がけてきた実力派プロデューサーが自らアルバムをリリースしました!ピアノのメロディーには定評がある村山さんなので、メロディーワークなどは期待していたのですが、それ以上に素晴らしかったのが、シンガーとして表現力でしょう。言葉をつむぐように大切に歌っていき、言葉一つ一つがしっかりと心に届いてきます。声とかの凄さとかそういうのではなく、優しく歌いかけどんどん詞の世界へと引き込んでいくのです。もちろんプロデューサーのアルバムらしく、どの曲のサウンドも音数は少ないのに、どっしりと存在感があり、バラード中心のこのアルバムをじっくりと聞かせてくれます。
特に3曲目「たどりつくまで」の切ない美しすぎるメロディーにやられました。久々に日本人的な魂のこもったSOULのこもった一曲に出会ったなと思えましたね。切ないメロディーにのせながらも、二人の強い絆を歌いあげるリリックがとても沁みます。そして、美しいメロディーだけではない、様々な村山さんのR&Bサウンドの真髄を見せてくれます!思いっきりR&Bサウンドで聞かせるボーナストラック「Danger Zone」から、ちょっとPOPSっぽい雰囲気とR&Bを融合させた「After The Love Is Gone」、「To The Other Side」。そして哀愁漂う「So Long」など、曲調もアルバムとして統一感がありながらも、しっかりとそれぞれの曲の特徴が出ていて、ぐんぐんアルバムを通して村山さんのサウンドの世界へと引き込まれていきます。歌自体もスムーズな声で歌いながらも、様々なUPテンポな曲調などに合わせて自在に歌い上げていき、そのスムーズな歌声にあったちょっと浮遊感のあるUP曲なども多く見せたりして、本当にこの辺のトータルなプロダクションはさすが日本有数のプロデューサーだなーと感心してしまいます。
どんなジャンルの曲を聞く人にもきっと響くだろうし、よりR&Bが好きな人にこそ聞けば、このアルバムの中に潜むR&Bとして要素が感じ取れて良さがよくわかると思います。お勧めですよ〜。
(曲解説)
01.Tomorrow 〜a cappella intro〜
イントロは、村山さんらしい美しいメロディーが展開する一曲です。英語詞ですが、その違和感を感じさせない素晴らしさです。
02.Reach The Sky
和製Babyfaceという名がホント間違いではないということがこのサウンドを聞くことですぐにわかります。美しくさりげない音使いと、柔らかく表情豊かなボーカルが、心地よくどこか懐かしいメロディーラインが心に染み渡ります。真っ直ぐな思いをつづったリリックに、どこか懐かしい場所をふっと思い起こすようなその雰囲気は日本的でありながらも、サウンドはしっとりとした心地よいR&Bで魅了してくれます!日本人としてのSOULと脈々と続くUSのSOULの息吹を感じることができます。
03.たどりつくまで
日本的などこか厳しさをもったピアノのメロディーが心に愛惜を呼び寄せ、村山さんのどこかふわっと優しい歌声が心に響いてくる一曲!日本的なサウンドであり、まさに二人の愛の軌跡を見事に歌い上げていきます・・・本当に本当に大切な何かを感じさせてくれるような一曲。人を思う大切さをふと気づかせてくれます。今長く恋愛をしてきている人、夫婦とかそういう人に聞いてもらうと、物凄い沁みるかもしれません。きっととても日本的といわれるでしょうが、この情緒感溢れる気持ちと空気感、これこそ僕は日本人が持つSOULそのもののような気がします。最後の美しいコーラスワークまで目が離せない!本当に美しいメロディーを作らせたら、R&Bのプロデューサーの中でも随一ですね。涙無しには聞けない一曲です。
04.After The Love Is Gone
少しPOP調な雰囲気を織り交ぜながら、面白い音を随所に使っていっていってくれてます。そして、この相手と別れた後の突然襲い掛かる焦燥を歌い上げる詞の世界観がいいな〜と思わせます。感情の揺さぶられ方が、リリックだけじゃなくて歌い方などにもあらわれています。そんな歌ですが、サウンドは一番R&Bっぽい要素が多くて、コーラスワークやシャウトなど面白い場面に多く出会えます。
05.Mind Journey To Infinity 〜interlude〜
うーん、こういうInterludeで効果的に見せる術もやっぱりプロデューサーだけあって心得ていますね。
06.So Long
3曲目で見せてくれた日本的な情緒感と、メロディーの美しさに胸を打たれます。その美しさを怖いほどに純粋に高めているその別れへと後悔の念が、胸を潰されるほどに擦り切れるほどに切なく迫ってきます。たまらないですね。切ないアコースティックギターとやわらかいサウンドがより情を高めています。優しい雰囲気に包まれているのが、余計切ないです!
たまたまなのか、4曲目のフレーズに出てくるSo Longというのがタイトルになっているのも続いているようで面白いですね。最後のハーモニーがR&Bのコーラスグループみたいでかっこいい!
07.All About You
ちょっと切ない歌が多かったので、ここで幸せな気持ちを歌う村山さんの優しい歌声にホッとさせてくれます。サビの包み込まれるような心地よいメロディーの暖かさが、愛情の深さと強さを感じ取って暖かい気持ちにさせてくれます。こういう優しい曲調のメロディーが似合う人なんですよね、そして音数が少ないんだけど、しっかりと下から歌を支えれる強さをもったトラックが、さすがベテランのプロデューサーさんだな〜と感じます。
08.いつの日か
微妙なビブラートを聞かせたりと、スタンダードなスローバラードを見事に歌い上げていきます。声質は確かに恵まれているとはいえないのですが、その分歌唱方法の絶妙なうまさとかは驚ろかされます。こういうスタンダードな曲だと、村山さんのシンガーとしての実力も如実に感じることができます。このやわらかい歌い方は、ホント最近のシンガーにいないタイプなんですよね。
09.To The Other Side
POPな雰囲気で、心地よい一曲!思わず体が揺れるようなそんな心地よい雰囲気と前向きなリリックが心を躍らせてくれます。ファルセットも随所に入っていたりして、その辺の声の重ね方のうまさとかや、最後のフェイクなど、最初はPOPな曲かなと思わせておいて、しっかりと躍らせるR&Bフレーバー満載な曲へと進化していくのがすごいです。新しい一歩へとフッと歩き出せるそんな心地よい軽さが素敵ですね。最後のファルセットのバックボーカルとか、面白いです!
10.Dignity 〜interlude〜
教会のような荘厳な雰囲気のInterludeでアルバムの雰囲気を引き締めていきます。
11.軌跡
ピアノの伴奏から、アルバムタイトル曲が始まります。二人の描いた軌跡と愛を切々と歌い上げる素適な一曲です。その美しいメロディーとピアノの素敵な伴奏・・・最高にシンプルだからこそ、メロディーの素晴らしさが引き立ちます。言葉もすんなりと耳に入ってくる感じが素敵なんですよね〜!
12.生まれかわっても
オーソドックスなバラードなのですが、そのオーソドックスっぷりというか、定番のものをありきたりに聞かせない村山さんのプロデューサーとしての実力はすごいですね。どこか懐かしいっていう点でオーソドックスな感じを感じさせるのですが、美しい!と思わせることで新鮮さを失わないのです。こういう普遍的なバラードでこそ彼の丁寧な歌い方がより引き立ちます。
13.未来
どこか、ホッとするような気持ちがいいサビのフレーズが気持ちがよく心を軽くさせてくれます。この詞の世界観がとても心地よくてゆったりとした気分にさせてくれます。かわいらしい音使いがよりこの曲を魅力的に魅せています。さりげなく入れるフェイクとかも、POPな曲調でありながらもR&B的な面を感じさせてくれます。
14.Hope 〜a cappella outro〜
こういうOutroやIntroなどの英語詞のさりげない曲を聞くと、ネイティブかと思うほどに堂に入っているし、さりげないこういう美しいR&BらしいInterludeがアルバムの完成度1ランク上げています。
15.Danger Zone
最後はボーナストラックで、この作品では、バラード中心に徹していた、村山さんが最後に、R&BのUPソングを聞かせてくれます。こういう作品ももちろん作れるっていうところをみせてくれた感じですね!言葉遊び的にフレーズにどんどん言葉を載せていきます。詞の世界も今までの柔らかい村山さんとはまた違ったMake Loveを連想させるSEXYな雰囲気がかっこいいのです!