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久保田利伸 / United Flow

01.United Flow〜Foreplay〜
02.まんまでGO
03.無常
04.DO ME BABY
05.Respect(thes&that) 〜Exteneded Funky Jam Version〜
06.My Bad
07.Heaven?
08.United Flow〜Replay〜
09.Because of U
10.Free your Soul
11.MOONSTRUCK
12.Candy Rain
13.In your flow〜External Flow Version〜
 
 
久保田利伸 / United Flow

(概説)

アルバムの統一感という言葉をよく耳にする。それは、なんだろう?バラード中心だとか、そういう曲調に対するコメントなのだろうか?僕は違うと思っている、よく久保田が言葉にするGROOVE(グルーブ)これこそが、そのアルバムの統一感を作り出す鍵だと思っている。そして、このGROOVEを作り出すのものとして、アーティスト本人による技量や温もり、雰囲気が非常に重要なファクターとなりえる。ただ、「プロデューサーに作ってもらいました!ハイ歌いました!」という歌い手の人では到底作り出すことは出来ないし、確固たる自分のあり方をもっているアーティストじゃなければ、この統一されたGROOVEを持つことは不可能である。
それは、特にこの日本では難しい、POPを得意とする歌手でも流行があれば、音楽の音ごと変えなくてはならないからだ。特に最近R&Bと認知されている人に限ってそういうにわかじこみのアーティストが目立っていた。本当にR&Bが好きで、それが好きで好きで、歌いたくてたまらなくて、うたっていなくては、気持ちを込めて歌えないではないか。そう、この久保田のアルバムを聞きまずそんなことを思ってしまった。このアルバム今のR&Bシーンに一石を投じるには十分に重みを持つ一枚である。歌のうまい歌い手がいればいいというものではない、もっと内面からにじみ出るものがなくては、R&Bとしては、やっていけないし、聞く気もしない。そんな基本的なところを思い起こされた。(ちなみに、GROOVEとは、本来レコードの針を入れるレコード盤の溝をさす。そこから、どう派生したのか知らないが、最高の演奏や、パフォーマンスに対していうようになった。だが、僕がここで使うGROOVEは、もっと違う意味である。雰囲気とか快感を伴うほどの気持ちよさを指していっている。だが、それだけでは書ききれないもっと深いものがあるが、それは、このアルバムを聞けばわかるであろう、僕はこういう空気を感じたくて、せっせとR&Bを聞いている。)
肝心のアルバムといえば、これを聞かずして、今年は始まらない!それほどの完成度とインパクトを持った一枚である。この久保田独特のFLOWの中、溢れるGROOVEが、聞くものを最高に気持ちよくさせてくれる。音の作り方や、フェイクなどは、今までに作り方に比べるとシンプルで、とても潔く気持ちがいいアルバムでもある。特に昔はフェイクを多用していたのが、久保田の特徴だったのだが、今作ではそれが随分減ったように感じる・・・だが、それを補って余りある大人なR&Bの雰囲気を持つ曲調や歌いまわしをしているので、その歌に酔わされてしまう。しかも、今作は転調がキーワードになっている。なんどか、その場面は現れるのだが、ここで、そういう転調をしますか!という驚きと、くぅ〜!っていう一緒に歌いたい!というぐらいの快感を味わうことが出来るのである。久保田の声も、これだけR&Bアーティストが出てきたから感じることなんだが、Only Oneな歌声とリズムをもった人なんだということを今更ながら思い知らされる。それほどの凄いアーティストを聞かない手は無いだろう。
とにもかくにも、1曲目のIntroから聞いてみて欲しい。僕は、すでにこのイントロで久保田利伸の新しい世界が、目の前にバッと広がってしまったのである、彼は日本ではベテランであるが、まだまだ成長途中であり、これからも、ずっと成長しつづけて、僕等リスナーに新たな感動と、快感を与えてくれるのであろう。本当にアメリカでの3作目が楽しみになる内容である。また、昔、僕は、久保田の歌詞はよくわからなかったが、今では痛いほど分かる。それも、今の自分にとっては嬉しいことである(要は自分が子供だったということ)。一枚通しても短く感じるほど、素晴らしい曲がちりばめられたアルバムである。

オススメ:(1),(2),(3),(4),(5),(6),(7),(8),(9),(10),(11),(12),(13)全曲

(曲解説)

01.United Flow〜Foreplay〜

くぅ〜!カッコいい!静かでありながら、インパクトがある!しかも、気持ちがいい!こんなイントロながされたら、その後の内容の良さも想像がついちゃいます!これ聴いただけで、グッと上がっちゃいました!期待させてくれる最高のイントロですね。久保田のセンスの良さが光ります。

02.まんまでGO

ムーディーなイントロから、2曲目はいきなり上げ目な曲に入ります。ちょっと間違えれば、楽しい感じの曲になってしまいそうなキーボードの出だしだが、そこはグッと抑える感じで、カッコいい曲に仕上げています。でもタイトル『まんまでGO』で分かるとおり、歌詞とかは、面白いし、ただのバラードアルバムとして終わらせない久保田のこだわりでもあるのでしょう。この曲の独特のカッコよさと楽しさが同居した、この不思議な感じは癖になります。楽しい一曲ですよ。柿崎洋一郎氏によるTalk Boxがなんと言っても秀逸な一曲。ちょっとづつスクラッチを入れていくTurntableのさりげない影での仕事がこの曲をカッコよくしている。

03.無常

あのBlack StarMos DefをGuestに招いての一曲。introから続くMoodyな感じをそのまま残しつつ、Mos DefのRapがさらに深いところへ持っていってくれる。こういう大人な空気感をやってくれるR&Bアーティストは、まだまだ少ないないとおもう。若年化しているアーティスト達だが、こういうバラードは、やはり、年齢を重ねて素敵な恋愛を重ねなければ絶対に産まれないものであろう。Mos DefのRapが聴けるだけでも、嬉しい一曲である。彼は、このMoodyな感覚を崩さず、さらにMoodyに仕上げている見事なRapを展開する、これこそ天才Rapperの称号を持つ彼だからなせる技であろう。バラードにRapは合わない・・・そんな考えを吹き飛ばされてしまう一曲。

04.DO ME BABY

久保田渾身のミドルバラード。この優しい曲調に、久保田の歌声と歌詞が胸に刺さってくる。歌詞は松尾KC潔氏によるもの。この歌詞が、この曲調に非常にマッチしていて、素敵なGROOVEを生み出している。最後にかけての畳み掛けるような久保田の声の重ね方が見事である。男なら、胸にグッとくる名曲です。こういう風に愛する人を照らすことが出来たら、幸せだろうと思う。

05.Respect(thes&that) 〜Exteneded Funky Jam Version〜

シングルとして出されたものの別Version。だが、基本的にはシングルとあまり変化はありません。最後がちょっと違うかなって感じです。そして、これは、もう久保田のUPの王道!こういうUPを歌わせたら右にでるものはいないでしょうね!久保田がずっと言いつづけている「As One」っていう精神をそのまま歌詞にしていて、みんな一つになっていこうよ!きっと一つになれるよ!っていう明るいみんなへの励ましになりそうな歌。リズムをちょっとずらして歌ったり、久保田本来の歌を歌うのを自ら楽しむような明るい感じが出ていて、最近出たUP物としても秀逸な出来である。

06.My Bad

最初のため息や、息遣いが最高にカッコいいし、ヤラシイ。ちょっと押さえ気味で気持ちのいいリズムの中優しく歌いつづける久保田の声に酔わされてしまう。愛が終わってしまいそうなそんなときを書いた歌詞・・・甘い雰囲気の歌なんだけど、歌詞には、男女のわびさびがあるところが、久保田のよさでもある。「けして君のせいじゃない」そんな別れもあるんだろう・・・

07.Heaven?

Slow Jamな曲が流れます。こういうスローな甘い曲は、久保田自身が大好きなんですが、こういうヤラシイ曲がさらって歌えるのが、やっぱUSでずっと過ごしてきたからなのかな?歌詞をじっくり読んでみてください。かなりヤラシイですから。そして、この曲こそ、一番、転調の楽しさをもった曲。途中で転調して別の声が入ってくるんだが、これが最高に気持ちよく耳に入ってくるのである。こういうのが一番癖になる曲なのかもしれない・・・

08.United Flow〜Replay〜

これが秀逸!地味に一番好きな歌です。といっても、Interludeなんですけどね!このRapとも歌とも区別のつかない独特なFlowのコトバの羅列がすごい昔の久保田みたいで懐かしくもカッコいい!さらに、歌詞が面白い!意味がなさそうでしっかり意味があったりするところも面白いですね。そして、「Soul!」「言うねぇ!」っていう、叫ぶところでは、なんか一緒になって、手を上げて叫びたくなります!はい、実際車の中で叫んでました。だって、これ一緒に叫ぶと最高に気持ちいですよ!一回やってみてください!特に後半の「言うねぇ!」は相当気持いいです。

09.Because of U

リズムがカッコいい曲!このアルバムの中でも、相当カッコよさで言えば一番であろう。もちろん久保田の歌もかっこいいのだが、バックトラックがメリハリが効いていてカッコいい!思わず、踊り出したくなるような曲である。そして、大人な歌詞もいい具合に曲を盛り上げている。

10.Free your Soul

でも、Slow Jamが展開する。このアルバム全体通して、盛り上げては引き戻して、盛り上げては引き戻してということをしていて、それがうまい具合にGROOVYな統一感をだしているような気がする。6曲目とはちがって、こちらは、爽やかなスローバラードですね。優しい優しい空気が部屋を包み込んでいきます。僕はたまに部屋で音楽を聞いていると空気が変わることを感じるんですが、これもそんな曲の一つ。

11.MOONSTRUCK

この曲がこのアルバムの中でも秀逸であり、8曲目を除けば一番好きな歌である。バックトラックがまずカッコいい!女性ボーカルFelicia Grahamが曲にメリハリを効かせていて、楽しめる!ちょっと浮気性なこの曲の主人公も、曲の雰囲気にマッチしてる。このGROOVYでいて、Juicyな甘い雰囲気をもったカッコいいSOULを感じて欲しい。このアルバムの中でも、この曲は異彩を放っている!なぜか、BOOKLETには、Juicy Fruitとして、松尾KC潔が入ってるのが、面白い。

12.Candy Rain

シングル曲であり、この曲を聴いたとき、変わらない久保田を感じれて、非常に安心した覚えがある。R&Bが溢れる中で、前のままでいいのに、他の人と差別化したいために、ドンドン曲調が代わっていく人が多い中、やはり、久保田は根本的なところは、なにも変わらずやっていけているんだなってことに、感動したし、一ファンとして安心もした。やはり、久保田の根本はR&BやSOUL以外のなにものでもないんだなと思う。とても、気持ちのよい優しい曲である。

13.In your flow〜External Flow Version〜

『Candy Rain』のカップリングとして入っていた曲の別バージョン。最後を飾るこの曲は、このアルバムを良く表している曲だと思う。ゆっくりとまったりと流れる曲であり、久保田の声がよく栄えている曲である。MoodyでいてGroovyな大人なアルバム。それが今作であろう。このアルバム全体とを通して聴いたときの気持ちよさといったら、2002年の傑作といっても過言ではない。56分38秒の世界を堪能してくれ。きっとあなたの心を久保田の声が愛が満たしてくれるでしょう。

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☆☆☆☆☆☆(傑作!)

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