KeAnthony / A Hustlaz Story
02.That's What I'll Be
03.I Ain't Tryna
04.This Feelin
05.My Song
06.Forever My Homie (Done Snitched On Me)
08.Everythime I'm High
09.A Hustlaz Story
10.Call Me
11.Meddlin
12.It's Okay
(総評)
ここ最近の洋楽R&Bにおいて、これほどにR&Bの潔さを感じさせるアルバムは久々である。まさにR&Bという柱を前面に打ち出して、その歌とサウンドで真っ向勝負に出ているのです。
最近の奇抜さが受けるサウンドや歌いまわし、さらにメロディーのよさだけで歌に特徴が無いほうが受けてしまう今のR&Bのシーン全体に対する挑戦である。
飾らないけど魅力的なR&Bのサウンドそして、塩辛さを持ちつつも正統派な歌いっぷり、それらすべてが、R&Bが最近無くしつつある歌の心を感じさせてくれる一枚です!時にシャウターとしての魅力も魅せ、切ない歌声の自体の魅力もしっかり歌いこみ見せてくれています。
先行シングルとなった、I Try Ain'tのすばらしさは言うに及ばす、どの曲もしっかりとしたトラック作りで、90年代のR&Bを彩る雰囲気が詰まっています。producerも、Underdogs, Tank, Mike City, Scott Storch, Steve Russellなど、もう最近の本格的なR&Bトラックを作れる数少ないProducerが大集結していて、もうどの曲も過剰な演出などはなく、歌をあくまでサポートしつつも、どんどんそのトラックと歌の両方に引き込まれるようなすばらしい演出なのです!
8年もの間友人の裏切りにより、獄中で過ごしたというバックグラウンドの重みもありながら、それを時には感じさせない、甘ささえ感じる正統派な歌いっぷりと、CRUNAという名前から改名し、2年の歳月を経てリリースに漕ぎ着けた苦労人らしいソウルフルでいて哀愁漂う歌声には、胸を打ち抜かれます。そして、現在のメジャーシーンのR&Bを正しい方向へと演出している実力派のプロデューサー陣が作り出す、それをしっかりとバックアップしている見事な楽曲群!どれもが、一流なのです!
これぞ、R&Bというにふさわしい仕上がりになっています。
最近ではJaheimぐらいしか出せない歌の深さを持ちつつも、オールドソウルな雰囲気よりもよりR&B然としての歌に重点が置かれている作品になっていて、誰にも聞いたときの心地よさを感じさせ、その深みからソウルフルさをも感じさせるのです。
R&Bを好きな人には、こういう作品をぜひ聞いてほしい!これぞ、R&Bですよ!この歌があれば、すべてを語れる一枚です。
この中には、いいものをいいと届けられる、今のメジャーシーンが亡くしたR&Bの良心が詰まってます。
今年のTOP1を飾るにふさわしいすばらしい一枚です。これを聞かずして、今年のR&Bを語るなかれ!
買わんと損する作品です♪これがちゃんとメジャーな店舗で流通してくれたのが、本当に今のシーンの救いですわ〜♪
これにCruna時代の名曲「Take Me Higher」が入れば最高だったという声もあるでしょうけど、あえて以前のCrunaとしての自分とは決別し、しっかり歌い魅せれる自信があるからこそ、これほどの充実した内容のアルバムを届けてくれたのでしょう。あえて10曲という短い構成のアルバムながらもその厚みは、最高級とも言うべき聞いた後に、どっしりと心の中にKeAnthonyのソウルが宿るような歌力に溢れたアルバムになっています!
特に、シャウターとしての魅力が詰まった2曲目「That's What I'll Be」3曲目「I Ain't Tryna」7曲目「I Thought (No Strings)」とシャウターに魅力をこれでもかと感じさせ、Tank & Underdogsのコンビが本当に素晴らしいストレートなR&Bソングを作り上げ、そして、Cruna時代からのProducerが、彼のどこか泥臭い雰囲気の歌声をしっかりと活かした楽曲を聞かせてくれています。本当にProducerに恵まれているなーって思えるほどに、捨て曲がないんです、さらに11曲目「Meddlin」では、自身によるProduceも披露して、シンガーソングライターとしての側面も魅せてくれて、これ一枚で終わるようなアーティストではないことをまざまざと見せ付けてくれます!
2000年以降の新譜としては、Case 3rd, Cornell Stone, Tank 3rd, Devante 2nd, TERRELL 2nd, Profyle 3rd, Lemar 3rd, Syleena Johnson 1st等とともに、長く語り継がれるべき名盤です。
2008年をこの曲なしに語るR&Bレビューワーは、ありえないですね!
(曲解説)
01.Down Girl
もう一曲目からこのイナタイ感じの歌いっぷりに惚れてしまいます。Scott Scorchにしては、しっかりとボトムの効いたサウンドでKeAnthonyもじっくりと歌いこんでくれます。ミドルテンポで、KeAnthonyの歌力を存分に感じさせてくれる好楽曲ですね
02.That's What I'll Be
ここでストレートにスローバラッドで聞かせてくれるところが素敵なんですよねー。じんわりと、じんわりと聞き入らせてくれて、Underdogらしい美メロのサビでノックダウンしてくれます。徐々にメロディーを崩してフェイクを入れながら、歌いこんでいくところなんてたまりません!転調からのシャウトに、まず一回目の昇天を味わえます。Underdogsと歌力のある人が組むと、決して派手さがなくても名曲になりますよね♪
03.I Ain't Tryna
UnderdogsとTankが作り出す文句なしの2008年最高級の名美メロバラード!Underdogsの美メロセンスとTankのかっこいいトラックセンスが合わさり、そこにKeAnthonyの渋味のあるソウルフルな歌声が乗れば、もうかなうものなどありません。しっかりとしたボトムのリズム音にあわせてどんどん気分も高まっていき、最後にかけてのパワフルな歌声に、完全に昇天させられてしまいます。特段激しいシャウトがあるわけではないのですが、徐々に高揚するパワフルさが、聞き手の気持ちをこれでもかと盛り上げてくれます!
04.This Feelin
エレキの独特な引っ張りあげるイントロから、ギターと共に、豪快に歌い上げてくれる一曲です!彼の泥臭い一面を持ったシャウターとしての資質を遺憾なく発揮している曲で、どの曲もパワフルで思わず唸ってしまいます。シャウターとして楽しませる一曲で、女性コーラスも効果的に盛り上げてくれます!シンプルで短い構成ながらも、KeAnthonyにしか歌えない歌になっていますね。
05.My Song
もう最初の歌いっぷりからして、もうたまりませんね。一緒にHello〜っと訛り気味にうたってしまいそうです。そんなイントロからいい曲の予感はするのですが、もう曲が進むごとに、さすが!っていう美メロ曲へと変貌を遂げていきます。Underdogs&Tankコンビは外れないですねー。じっくりと手を抜くことなく全てのメロディーを大切に、サビに向かって盛り上がっていくのです!飾らないけど名曲です!
06.Forever My Homie (Done Snitched On Me)
どこか悲しげなメロディーがこの声と絶妙にマッチする一曲!シングル曲としてPVも作れられていて、刑務所に入ったときの経験を歌っています。シンプルなリズムサウンド中心の一曲ですが、こちらも、Underdogs&TankのProduceで、絶妙な悲しげなメロディーが、どこか土臭く、男としての不器用さを感じさせるKeAnthonyの雰囲気を存分に感じさせてくれます。
07.I Thought (No Strings)
柔らかな雰囲気のイントロから、適度に肩の力の抜けた心地よい歌い方を披露してくれます。本当にどの曲も素晴らしくて、プロデューサーの素晴らしさ、さらにはKeAnthonyの歌い手としての魅力的に聞かせる力を感じさせます。でも、後半に向けてのパワフルなシャウトには昇天させられますよ!もう見事すぎる!前半の雰囲気をこれほど突き抜けるぐらいにぶち破ってくれるとは!もう気持ちがいい!こういうシャウトをこうやって適度なところで聞かせてくれるっていうのが、わかってますねー!さすが、TankがProduceしているだけあるなー。
08.Everythime I'm High
スローテンポに、力を込めて歌いこんでいく曲で、トラックメイキングのうまさもあって、歌いこんでいく魅力にあふれた一曲になっています。丁寧に歌いこんでいて、所々で見せてくれるフェイクの多彩さも見逃せないところですよ!
09.A Hustlaz Story
ここで、また雰囲気を変えて、彼の泥臭い雰囲気を感じさせてくれます。4曲目でもProduceを担当した、Kenny Flavが、Crunaの時のようなちょっとしたソウル感覚を詰め込んだ楽曲を作っていて、またストレートなR&B楽曲であるTank, Underdogsとは一線を隠した曲になっていて、アルバムに幅を持たせているんです。もちろん曲の雰囲気もかっこいいし!なかなかの一品です。
10.Call Me
後半は多彩な雰囲気が感じられて、いろんなKeAnthonyの魅力を感じることができますー。どこかマイナーテンポな歌いっぷりが、レイトバックしたような雰囲気を出していて、個性的な歌い方をきかせてくれる曲になっています。どこか裏声を聞かせながらも、ファルセットでシャウトして盛り上げていきます。
11.Meddlin
He Say She Saidってフレーズが印象に残る一曲で、ミッドテンポにのって、歌いこんでいきます。まさにアルバムの一曲という感じの曲ですが、こんな曲でも存在感あるKeAnthonyの歌声と、ちょっとシンセのレイトバックした音が、いい相性を醸し出しています。そして、この一曲はKeAnthony自身が作ってプロデュースした一曲になっていて、結構実はProduce能力も高いんだということを証明していて、これ一発では、終わらない逸材だということを証明しています。
12.It's Okay
最後にMike Cityがボーナストラックで登場です。なんて贅沢なボーナストラックでしょう。丁寧で、優しいサウンドが織り成す甘美で美しいサウンドがいかにもMike Cityだな〜って思わせますが、こういう曲では、本当にこういう素朴な歌声が相性いいんです!シンプルでいながらも、軸のぶれなさがかっこいいんですよね。後半ちょっと小粒かなっていう楽曲群の中でもかなり光っている一品です!
(Producer)
Scott Storch:(1)Underdogs:(2),(3),(5),(6),(7),(8)
Steve Russell:(2)
Tank:(3),(5),(6),(7),(8)
Kenny Flav:(4),(9)
Lenio purry:(4)
Dave "Supa Dave" DeBerry:(9)
Neil Jones:(10)
Cents:(11)
KeAnthony:(11)
Mike City:(12)