ERIC CIRE / ericcire.com

(総評)

Eric Cireの1stアルバム。たぶん、ジャケのシンプルすぎる構成＋一曲目がいきなりド太いサウンドで始まる異色な始まりのため、あまりこの盤を評価する人はいないかもしれませんが、2005年のインディーソウルの中でも隠れた名盤中の名盤です。絶対に手に入れることをオススメします。
もう2曲目からのTERRELLにも通じる強烈なテナーボイスを駆使した素晴らしいスローバラードの数々に、感涙です！どの曲をとっても最高のネットリ感、マッタリ感、そして心地よさをもった強烈な曲がごろごろしています。まあ正直なぜに1曲目だけが、HIPHOPサウンドというか、強烈な個性をもった曲なのかが謎なのですが、でも聞き返せば結構素敵な曲なのです！そして、その一曲のおかげでとてもアルバムに幅がでているのも事実です。そうしうて2曲目以降はどれもオススメなのですが、2曲目、3曲目でもう心鷲掴みにする伸びやかな歌声・・・優しい雰囲気、心地よさ！そして、その中に潜む一気に空気を支配するかのような力強さ！全てが混ざり合い最高のバラードへと昇華しています。そして、4曲目「Love Vowels(愛の母音)」と命名されている一曲がこの人の真骨頂！これをプロデュースも作曲もして、そしてこれほど面白いリリックをつけて心地よく歌うんですから！2005年の名盤の一つです！
しかもその全ての曲を作曲しそしてセルフプロデュースをしているのです、これは本当の意味で実力があり、自分の力をいかんなく発揮しています。Produceまでこなすとは・・・曲を聞いた後にクレジットを見て驚愕しました。この一枚凄すぎるんですよ！とにかく！
どちらかというと、サウンド重視で声や表現力が軽視されがちになっているR&B界においても、これだけ声でいろんな表情を表現させられたらたまりません！Eric Cireの歌声は、本当に表情があって、面白いし、SEXYさもあって優しくて心地よい！これだけの逸材はなかなかいませんね〜。バリトンシンガーにありがちなただ力強いのじゃない、SEXYで、優しさも持っている素敵な歌を歌うのです。こんなネットリしたサウンドで、伸びやかに歌えるボーカリストもそうそう出てこないですよ！素晴らしいバラードがたくさん入っています、ぜひ聞いて欲しい一枚です！

(曲解説)

01. Ghetto Love Song

他の曲と比べると相当異色な、うねるようなシンセの音色が癖になっていくような一曲です。彼なりのFUNKを表現してて、これはこれで面白くてこのアルバムの意外性って意味ではとても他の曲の良さを引き立ててくれています。何よりEric Cire吼えたときの力強さをストレートに感じさせてくれます。

02. Still

この曲からEric Cireの素晴らしい優しくも力強いテナーボイスが、聞くものを魅了していきます。ゆったりとしたリズムにのって、伸びやかな歌声が心地よく響く・・・。彼の声を重ねていくフェイクやメロディーラインの素晴らしさもこの曲を更なるいいものへと押し上げていきます。そうして徐々に吠え出し、シャウトしていくのが、もうね〜一緒にこらえきれなくなりそうです。

03. Let's Make It Right

スローテンポなリズムと、優雅なピアノの音色が、Eric Cireの心地よい伸びやかな歌声と相まって、空気を変えるほどに切なく心地よく響き、どこか襟を正したようなかっこよさがあります。そして、Eric Cireの見事なシャウトとフェイク！彼の最大の魅力はそのバリトンボイスを魅惑的に聞かせてくれるフェイクのうまさにあります。この曲ではそれを存分に味わえますよ。最後の超絶シャウトには、悶絶してしまいます。

04. Love Vowels (AEIOU)

A(え〜).E（い〜）.I（あ〜）.O（お〜）.U（う〜）と繰り返す独特な心地よく響くHOOKのフレーズに思わず耳を奪われます。愛の母音と名づけられた不思議なタイトルなのですが、その英語の母音A,E,I,O,Uに文字って愛を歌い上げていくEric Cire。これは、曲の構成としても面白いし、サウンドもしっかりとスネアが聞いていて、リズミカルでありながら、マッタリとゆったりとしたサウンドがたまらなく、それに併せて絶妙な歌を披露していきます。本当にこれだけ素晴らしい歌を披露できたら完璧です！

05. Missing Person Report

より、スローへ、濃密な世界へといざなっていくEric Cire。その濃密さが頂点に達するのが、この一曲。スローで甘くバリトンボイスの魅惑な世界へと聞き手をずるずるとずるずると引きずりこんでいきます・・・もう逃れられない・・・そんな魅力に溢れた歌声です。これほどシンプルな曲の構成でありながらも、彼の歌声一本でこれほどに広がりができるのかと思うと凄すぎです。本気でこのバリトンボイスを生かしきるフェイクやフレーズの作り方は見事です！

06. Nonchalant (Do What U Do)

ここで、一度HIPHOPのリズムトラックにのって、UPテンポに聞かせていきます。踊れる心地よいUPなのですが、どこかネットリとして、底から盛り上がってくるような雰囲気でそのバリトンボイスでのファルセットで妖艶な雰囲気を出しているのが、彼らしいですね。曲もいいし、いい感じのアルバムのアクセントになっています。

07. Sex

ストレートなタイトルなのですが、とても心地よい伸びやかなイントロの歌いっぷりとのギャップが面白い。野太い声で、気持ちよさそうに、伸びやかに歌うのが聞いていて気持ちいい〜！もちろんリリックの内容はとてもSEXYで、その心地よさと気持ちよさを重ね合わせたのかなと感じさせます。

08. Ride It!

ここではちょっと変わった感じで、言葉をわざとつまり気味にした歌唱を見せ、そこから一気に広がりのあるHOOKで、彼の歌声のスケールを感じさせてくれます。ちょっと切なげな吼え方が心に響きます。本当にここまで棄て曲無しですよ！

09. Not Fair

美しいピアノのメロディーとそれに合わせて美しく歌うEric Cire。後半の曲の中でもこの美しさとメロディーの良さは、抜きん出ています。特に曲の後半にかけてどんどんシャウトをかましていくところなんて、感動的でさえあります。転調でのこの曲の良さがわからない人はいないでしょう。イントロのフェイクでの美しい歌いまわしも素敵です。

10. Simmer, Simmer

イントロの静かな感じから水滴の音に併せて、しっとりと歌っていくEric Cire。とても面白いフレーズのサビがインパクトあります。アルバム曲って感じで、それほど目立つ曲でもないのですが、曲調はとても面白いですよ！

11. Ghetto Love (Ballad)

今までの曲よりもリズムがしっかりしたスロートラックの上で、しっとりとクールに歌い上げて行きます。誰だろ・・・なんかこんな雰囲気の曲調を得意にしてる人入るな〜。90年代のGettoな雰囲気をもったSlow Balladって感じでかっこいいです！1曲目のリメイク？

12. Diggin' Up the Past

イントロのギターの音色が印象的で、それに併せてネットリと歌い上げていきます。ファルセットも織り交ぜながら浮遊感がある歌い方が、心地よく響いてきます。バックサウンドも面白い！サビのファルセットの伸ばし方も、切なくてたまりませんよ！ホント全てが水準以上の出来ですね〜。

13. No Love...No More (Seems Like...!)

一度聞いたら離れないサビのフレーズをひたすら繰り返していく一曲。ループの恐ろしさというのか、だんだん心地よくなってくるんだから不思議です。もちろんEric Cireの心地よい歌いっぷりがあってこそ！彼はね〜まったりした曲を歌わせたら右にでるものいないかもしれません。最後にかけて微妙にメロディーを変えていく感じも見事！

(Producer)

(Musician)

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