Boyz �U Men / Full Circle

(総評)

もう大御所のボーイズグループのアリスタ移籍後の第一弾！まー、そこそこの出来だろうというのが、大方の洋楽好きの予想だったはずです(やはり、第一線級でずっとやっていって、その中で常に素晴らしい歌を出し続けるのは本当に難しいことだから)。これが、見事に裏切られたんです、基本に戻ったというよりも、ベーシックでいて新しい、美しくあり繊細、そういう彼ら本来の味が良く出ていて、それが、最近の力強さが先行したコーラスが流行るシーンの中では足りなかった要素だったので、新鮮に聞こえてきます。ネタ使いというか、サビのフレーズや楽器のフレーズの使い方なども工夫されており、耳障りが良くかなり気持ちがいい曲が並べられている。今回は"語り"も多く使われていて一枚としての雰囲気を大事に作られているなーと感じます。歌い方も歌のうまさを前面に出すというよりはちょっと抑え目で徐々に聞き手の耳を捕らえていくような、百選練磨な彼ららしいボーカルで訴えかけてきます。熱い掛け合いなどはないのですが、じっくり切ない曲たちをジワジワと聞かせてくれます。Upperの曲も明らかに前作よりも素晴らしいし、清涼感溢れるバラードの美しさは、やはり素晴らしいものがあります。本当に洗練された美しさをもったコーラスです。これだ！って曲はなかなかないのですが、心が洗われるようねそんなステキなバラードや、ムードたっぷりな大人なバラードまでSlowが満載です。夜二人で聴きたいそんなアルバムですね。星なんか見ながら聞いたらいいだろうなー。前作よりも絶対いいですよ！大御所の力を示した一枚です！買い！たぶん売り上げ的には前作に劣るだろうけど、これが本来の彼らの味がでている一枚だと思います。僕は、こういう内側に入り込んでくるような地味な作りのアルバムって好きですねー。
オススメ:(1),(4),(5),(6),(7),(8),(9),(12)

(曲解説)

01.Relax Your Mind feat. Faith Evans

えーと、Faith Evansの意味はあるのか？と言いたくなるぐらい、Faith Evansの出番少ないんですが、いい感じの正統派な雰囲気を持った一曲。曲としては、非常にいい出来だと思いますよ。後半のバラードに比べるとありきたりという気もしますが・・・。最後の方のデバージの『I Like It』を(正確にはJOMANDAの方かな？この女性によるサンプリングの方が今は有名かもしれないですね。もろまんまじゃん！ってつっこみたくなるサンプリングも非常に面白いし、楽しめる曲だと思います。

02.The Color Of Love

B2Mらしい、いかにもって感じの曲ですね〜。非常にRelaxした雰囲気で聞けるんですが、後半の良曲に比べると、味気なく感じますね。でも、この人たちのバラードは、繰り返しのフレーズが本当に美しい・・・このちょっと引き気味に美しく作り上げる曲たちは、じわじわ、じわじわと心と体に浸透してきます・・・長く聴くとどんどん味が出てくる感じで、こういうところも、彼らの素晴らしい一面でしょうね。ホントきれいな清潔感溢れるバラードを歌わせたら右に出るものがいないですね。こういうバラードを歌っても、やらしくならないのが彼らのすごいところでもあります。

03.Ain't A Thang Wong feat.Rob Jackson

・・・かなり駄作だと思われる・・・うーん、いまいちここでこのちょっとラテン入った曲調でもってくる意図がよくわからない・・・曲の流れがここでぶつっと切られてる感じです。

04.Oh Well

ここからB2Mの本領発揮です！この透明感溢れる歌い方・・・コーラス・・・どれをとってもため息しか出ません・・・素晴らしいです。このR&Bボーイズグループらしからぬ、清涼感が彼らの特徴ですね、後半の聖歌のような盛り上がり方が、味があって面白い。彼ら以外が歌えが臭くなってしまうんだろうし、彼らだからこういう清々しい感じに仕上がるんだろうと思います。こういう引いた感じで歌いつつ、地味に歌のうまさを見せ付けられると、声も出ないですね。 まずは、この一曲を聴いてみてください、心洗われるはずです・・・ジャム＆ルイスはやっぱりすごい！

05.Whatcha Need

素晴らしいミドルバラード！こんなかっこいい曲歌えるんだなーまだ。って感じで驚きです。最初と最後で出てくるピアノの音が曲にキレイな味付けを施しています。4人の熱く燃える熱唱がストレートに響いてくる素晴らしい楽曲ですね。このか細くも、時に力強くコーラスが入る、はかない感じの曲っていうのは、彼らの雰囲気に合っていて、ステキである。4人の声をじっくり堪能して欲しい曲です。

06.On The Road Again

名曲！ギターのサウンドが切なく響き渡るイントロから、ちょっとかすれ気味に歌いだすボーカル・・・すべてが秋を思い起こすようなそんな切なさを持っています・・・4人のコーラスも切なく絡み合い曲を静かに盛り上げていきます・・・すべてが切なく響き渡る名曲です。僕はこの曲がこのアルバムの中で一番の曲だと思う。切ない歌って言うのは、どうしてこう胸の奥深くに突き刺さるのでしょうか。胸に突き刺さってくるような、切なさが心を惹きつけます。

07.Roll With Me

ビート音が効いたUPの曲で、かなり4人のコーラスワークがうまく働いていて、かっこいい仕上がりになっています。リズムの刻み方が非常に面白いので、聴いていても飽きません。UPでは、掛け合いよりも、4人の声をストレートに合わせた方がいい曲に仕上がるみたいですね。最後のファルセットでの終わり方がなんとも・・・気持ちいい！こういう地味なところの丁寧な作りが、今作の素晴らしいところ。

08.Right On Time

B2Mにしては、かなりのエロエロ路線。女性の耳元で語りかけるように、ささやく4人が、やらしすぎます。こういう彼らも、十分にステキだ！まあ、いい年なのでこんな路線もありだろう。サビでの抑えに抑えたエロい歌い方が、いかにもMoodyな感じで甘い夜を連想させます。夜に使える曲でしょうね。いや、こういう曲って大好きなんですよ。最後の方にかけての、ゆっくりとした盛り上がり方も素晴らしい！後ろでささやく低音の声もいい味出してますよ・・・エロだ。

09.Howz About It

最初の語り方、サンプリング音と、ハーモニカの音が絶妙に絡み合う楽曲。その上を滑らかなに疾走する4人のコーラスがCoolです。ミドルなテンポの中でのリズム音が絶妙に気持ちを盛り上げてくれるんですよねー。4曲目からここまで全然捨て曲なし！聴くほどに味がでる曲ばかりが並んだ、B2M久々の傑作アルバムといえるでしょうね！

10.That's Why I Love You

最初の歌いだしが印象的なバラード、9曲目とのつなぎが素晴らしいなーと思わせてくれる。ファルセットと、シャウトの混ざり具合が絶妙な一曲ですね。本当に今作では、語りが多かったりします・・・それが結構効果的に働いているのも、おもしろい。大人な雰囲気を作り出すのに成功しています。パッとしないけど、夜流して聞くにはちょうどいい曲ですね。

11.I'm OK, You're OK

最初のイントロの入り方が面白い一曲。小細工なしのスタンダードな作りの一曲ですね。ドラム音の効果的に響き、曲に色合いをつけています。ありふれた曲ですが、このアルバムの中ではそれで全然いいと思います。下手な小細工は彼らには必要がないんですから。

12.Luv N U

今までのバラードとちょっと一線を画する曲で、いままでの切なさを出した曲よりは、包み込むような暖かさがある曲。ここでも語りを使って雰囲気を作り出しています。気持ちが良いんだけどね。サビの作りが今回は面白いので、バラード続きだが飽きずに聞くことができる。ホントバラードに素晴らしい曲が多いですわー。前作はPass You By以外のバラードがいまいちだっただけに、これはうれしいですね。

13.I'll Show You

いかにもっていう前作を周到したような始まり方をする曲・・・ちょっと音が古く感じるかも。まーありですけど、ちょっと物足りなさを感じる。正統派なバラードです。

14.Ain't A Thang Wrong

聴いたことあるイントロから・・・オールドスクールな雰囲気をもったフレーズがちりばめられています。普通に気持ちよーく聴くことが出来ます。