Eric Benet / Lost in Time

01.Never Want To Live Without You
02.Feel Good (feat. Faith Evans)
03.Sometimes I Cry
04.Always A Reason
05.Paid (feat. Eddie Levert)
06.Take It (feat. Chrisette Michele)
07.Stir It Up
08.Summer Love (feat. India Benet)
09.Lost In Time
10.Good Life (feat. Ledisi)
11.Something’s Wrong

(総評)

Eric Benet通算5枚目となるアルバムは、名作2ndアルバムを軽く凌駕する2000年代の大傑作として名を残すであろうアルバムを届けてくれました!本当に油が乗り切ったベテランとして、余裕を感じさせるつくりでありながら、しっかりと魅了するところは魅了してくれて、ソウルフルでクラシカルな味わいの中に、ファルセットで見せる驚きをふんだんに取り入れています。
どの曲もクラシカルで、名曲ばかりなのですが、なんといっても、シングル曲「Sometimes I Cry」と「Lost In Time」で見せる超絶ファルセットには、心震わされました。そして、クラシカルな曲調が素晴らしい「Never Want To Live Without You」とこの3曲は、2010年を代表する名曲に数えられることでしょう。さらに、豪華デュエット陣もEddie Levertがまさに円熟の味を見せてアルバムにアクセントを与え、Ledisiがファンキーな色合いを加えてくれ、盟友Faith EvansとChrisette Micheleが、デュエットの名手としてのEric Benetの素晴らしさを再確認させてくれます。さらには、愛娘India Benetとの息の合ったデュエットには、家族愛さえ感じさせてくれて、アルバム全体として、バラエティーに富みながらも、ソウルフルで、音楽への愛情にあふれた一枚に仕上げています!
朝からでも聴けるし、日曜の午後が合うような、心地よい一枚で、贅沢な気分にさせてくれます。2010年というよりも2000年以降の最高傑作に数えられるであろう素晴らしい一枚に仕上がっています。オススメ:(1),(3),(9),(4),(5),(10)

(曲解説)

01.Never Want To Live Without You

まさに奇跡の一曲といってもいいほどに、クラシカルで美しいソウルバラッドを作り上げました。聞くだけで心をやさしく包み込み癒されてしまいます。何気ない幸せな瞬間にこんな音楽が流れていたら本当の意味での幸せを噛みしめることができるでしょう。その美しい旋律にもまして素晴らしいのが、Eric Benetの心のこもった歌いっぷりと、端麗なファルセット!ここまで美しいファルセットを使いこなせるシンガーはもう彼をおいていないでしょう。しかもこのファルセットが嫌みがないというか、本当に曲に必要なものとしてしっかりサウンドと絡み合っていく様は、本当の名曲としか言いようがありません。2010年の楽曲の中でもずば抜けた名曲中の名曲の登場です。

02.Feel Good (feat. Faith Evans)

お互いにベテランとなってきたGeorgy Porgyで、素晴らしいデュエットが本当に懐かしい、Faith Evansを招いて、少し明るいファンキーな楽曲を披露してくれます。アルバムとして本当にバランスがとれていて、ソウルバラッドを崩さない。Faith Evansと一緒の楽曲というのも、懐かしさを増していて、ファンキーなんだけど、どこかクラシカルな匂いを感じさせてくれます。

03.Sometimes I Cry

ファルセットで柔らかく包むように歌い上げるイントロから、落ち着いたサウンドが心地よく耳に響いてきます。この楽曲でも超絶ファルセットをこれでもかと披露してくれて、曲の最初から美しいファルセットで驚かされるのに、後半に見せるファルセットシャウトには、ただただ驚嘆するばかりです。まさに耽美とは言葉は、こういう楽曲のためにあるんでしょうね。ファルセットのすごさだけじゃなくて、クラシカルなトータルとしておサウンドのうま味的なものを存分に感じさせてくれる一曲です。まさに世に出た時点でクラシカルな一曲ですね。

04.Always A Reason

緩やかな落ち着いたサウンドから、ゆったりと歌っていきます。体がゆったりと動くようなスローなリズムが心地よく響きます。HOOKのバックボーカルを従えての、緩やかに流れるようなHOOKのメロディーに体を揺らされるように気持ち良く響いてきます。ゆったりと聞き入りたくなるような、落ち着いた気分にさせてくれる素敵な一曲になっています!

05.Paid (feat. Eddie Levert)

O’JaysのEddie Levertを迎えてのファンキーな楽曲!Eric Benetの曲というよりも、完全にEddie Levertが自分の雰囲気にしてパワフルに歌ってますが、それがまたアルバムにアクセントをつけていて面白いです。Eric Benetの細身な声もいいバランスになっています。豪快でファンキーなかっこいい楽曲に仕上がっています。スローだけになりがたいなクラシカルな雰囲気の中で、雰囲気を崩さずにいい感じのアップサウンドを見せてくれるあたりはさすがです!

06.Take It (feat. Chrisette Michele)

Chrisette Micheleを迎えての一曲で、彼女自身もEric Benetの雰囲気に合わせて、いつもよりも滑らかな歌を披露してくれています。ゆったりとして、二人がじんわりと掛け合っていく様は、癒しさえ感じさせてくれます。Chrisette Michele自身はソロ作では挑戦的な曲調も多いので、ソウルフルだけどもっと元気がよいイメージなのですが、ここではまた違った大人なソウルを感じさせる歌でEric Benetを盛り立てます。

07.Stir It Up

ここでもソウルを感じさせる曲をさらっと歌いあげます。ソウルフルさと艶っぽさが両方兼ね備えていてる歌声は、聞くものを引き込みます。Eric Benetのさりげなく艶がある歌声も素晴らしいですが、しっとりと歌い上げるバックもいい味を出しています。

08.Summer Love (feat. India Benet)

愛娘Indiaを迎えての一曲。やっぱりEric Benetの血を引いているだけあって、相当な歌い手さんです。息もばっちりあっていて、歌い手同士も、心地よいやり取りをしているのが、伝わってきます。そして、家族愛にあふれたやさしい雰囲気が曲からも感じられます。

09.Lost In Time

最初からこちらもクラシックといえるイントロからの柔らかく心休まるような温かい音楽が流れてきます。これぞEric Benetといいたくなるメロディーとクラシカルなソウルの雰囲気が混ざり合った名曲です。そして、ここでも彼の超絶ファルセットが突き抜けていきます。これほどに見事にファルセットを使いこなせるのは、今は彼だけでしょう。本当に曲の雰囲気とあっていて、ファルセットの伸びやかさについつい聞きほれてしまいます。

10.Good Life (feat. Ledisi)

こちらもドソウルな女性シンガーLedisiを迎えて、ファンキーに歌い上げていきます。ソウルフルで心地よいバラッドも素敵なのですが、こういうファンキーな楽曲も取り込むことで、アルバムとして幅がでています。本当に歌がうまい二人が掛け合っているだけでも、贅沢ですが曲調も彼らの歌声を活かす曲調になっていて、思わず体が揺れていきます。

11.Something’s Wrong

最後は、ゆったりとした曲調でアルバムを閉じていきます。やっぱり彼が作りあがる雰囲気っていうの、好きなんですよね。どことなくお洒落な空気感を残しつつソウルに歌い上げていくところは見事ですね。メロディーも、派手ではないんですが、しっかりと耳に残るメロディーになっています。