Maxwell / BLACKsummers'night

(総評)

Maxwellのひさびさの４枚目のオリジナルアルバムがリリースされました！そして、やっぱり彼のセンスは間違いないということをR&Bリスナーに改めて再認識させるすばらしい一枚を残してくれました。９曲というコンパクトな内容なのですが、一曲一曲が非常に練られているのが、一聴しただけでわかり、この曲数の少なさが、余分なものをそぎ落とし、歌に紳士に向き合うMaxwellらしい作品に仕上がっているな〜と思います。
彼の良さといえば、ファルセットボイスと、その真摯な歌い方。ここでも、その期待は裏切らず、1曲目「Bad Habits」からファルセットで美しく聞かせてくれ、さらには、ファンキーな面も存分に見せてくれています。さらに！なんといっても、復活を印象付けた一曲3曲目「Pretty Wings」の素晴らしいこと。こういう正統派R&Bとも違う、Maxwellにしか歌えないR&Bを再び披露してくれたことに、ひたすら感謝したいです。ファルセットのひたすら美しい響きにファンキーなシャウトが絡むさまは、本当にR&B界の宝ですね。曲の展開もMaxwellじゃなきゃ、出せないし、この間をもたせられません！そして、かっこよいMaxwellを久々に堪能させてくれるのが、4曲目「Help Somebody」！ブラックな香りをぷんぷんにさせながら、シャープにファンキーに盛り上げていきます。ここで見せるバンドサウンドも見事です！そして、6曲目「Love You」のファンキーっぷりも本当に見事です！ソウルフル！アルバムの曲数としては、9曲とコンパクトながら、それを感じさせない見事な歌の深みと、バンドスタイルの演奏の厚みと濃さがあって、しっかり聞いた感じがするほどに、濃厚なまさにBlackなアルバムに仕上がっています！特にバックバンドとの信頼も厚いのが、楽曲を聴いていて伺えます。打ち込みが多い昨今では、これほどしっかりとしたバンドサウンドを聞かせてくれるとうれしくなりますね。
Maxwell復活を高らかに、宣言する2009年を代表する一枚であることは、間違いないですね！

(曲解説)

01.Bad Habits

Maxwellらしいファルセットから始まる儚い美を表現してくれる一曲。こういう曲をできるのは、あのNew Classic Soulの世代の人たちだけだなと再認識させてくれます。徐々にファンキーな色合いを見せるトラックとうまくあいまって、かっこよく盛り上がっていくのもかっこいい！ファンキーさが本当にたまらなく、最後にかけてフェイクのファンキーさにやられます。声とトラックとの相性が最高ですね。

02.Cold

サックスの音色がファンキーにぐいぐい盛り上げます！それにあわせて、ファンクネスな歌いっぷりに磨きがかかるMaxwell！思わずリズムに合わせて体が揺れるような歌いっぷりに、あわせて曲も尻上り的に盛り上がっていきます。こういうファンクネスな雰囲気だと、８０年代ファンクのようなふるい雰囲気に逃げてしまうアーティストが多い中、やっぱりMaxwellのファンクネスは、きちんとサウンドのシャープさを大事にしていて、どこか新しい雰囲気を常に提示しています。

03.Pretty Wings

彼独特の繊細なファルセットを効果的に聞かせる美しすぎるバラッド！こういう本当の意味で美しいバラッドを聴くことは数年に一度ぐらいでしょう。こういう曲は何十年たっても、名曲と言われ続けるはずです。柔らかい雰囲気のギタートラックにのって、やさしく歌うMaxwellが、サビになるとたまらないファルセットボイスで、美しく歌い上げていく様は、歎美な魅力さえ持っています。最後には熱を秘めたシャウトまで見せてくれて2009年を代表する名曲ですね。

04.Help Somebody

ビートがはっきりしたファンキーな楽曲で、ダークな雰囲気を持ちつつぐいぐいファンキーに歌い上げていきます。かっこいい〜♪気持がいいといえるような思わず体が動きだすファンキーさはたまりませんね！こういう楽曲はもうTony Richか、Maxwell以外は作り出せません。バックバンドの演奏ドラムの勢いもあってかっこよいのです。１曲の中に、ボーカルの見せ場、バンドの見せ場がしっかりとある起承転結があるのも、このMaxwellらしい！シンガーっていうだけじゃなくて、トータルアーティストとしての魅力をもっているが、よくわかります。最後のサウンドも盛り上がりますよ！

05.Stop The World

盛り上がったあとは、またしっとりと聞かせるファルセットソング。Maxwellのファルセットってどうしてこんなに心に染みるのでしょう。バックトラックがとてもシンプルでそのシンプルさが、余計にいい感じにMaxwellのよさを引き立てます。後半に見せる伸びやかな歌いっぷりは気持がいいですね！

06.Love You

リズミカルな雰囲気が気持ちがいいノリがよい一曲です。心地よいビートにのって、Maxwellも伸びやかにリズムに乗ってシャウトしながら、歌い上げていきます。こういうファンキーな曲でも、Maxwellの良さがでていますね。バンドがそれにしてもいいですね〜。打ち込み系が圧倒的になった昨今では、ここまできちんとしたバンドのリズムにのった楽曲だと、Maxwellのファンキーさが引き立ちます！

07.Fistful Of Tears

ここれでもしっかりと歌を聞かせてくれます。ピアノバックにのって、爽快な清清しい歌が展開されます。後半に魅せるギターのソロもかっこよく盛り上げます、力強い歌声で盛り上げるまっすぐな雰囲気の一曲です。

08.Playing Possum

ギターの弾き語り曲です、こういう聞かせる曲でのMaxwellの歌いっぷりは見事としかいいようがありません。心地よい歌声にただひたすらウットリと聞きほれてしまいます。力を抜いた歌声と、そこから優しくファルセットへと伸びていくところは、Maxwellの真骨頂。やっぱり彼のファルセットは、彼にしかだせないですね。

09.Phoenix Rise

なんと、最後はインスト曲です。軽快なビートが意外な感じがしますが、徐々にお洒落にファンキーに盛り上がっていく感じが、さすがMaxwellですね、センスがいいですわ。ちょっと展開はハウスっぽい感じですが、生演奏の良さを感じさせてくれるところがNew Classic Soulを代表するアーティストって感じがしますね。

(Producer)

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