JULIAN / THAT THANG

(総評)

数年前に発売した作品なのですが、去年手に入れてずっと聞いていた愛聴盤！名盤というにふさわしい物凄い歌心に溢れ、様々な素敵な楽曲が収められている好盤です。インディーソウルらしい自由さと、インディーソウルらしからぬ全体的なレベルの高さのアンバランスが素敵なのです。自由にやりながら、これほど水準が高いとは・・・そうして、JULIANのこみ上げるように歌う感情のこもったテナーシャウトがたまらないですね！
JULIANは、テネシー出身で、２曲目のようなスローバラッドでも、その歌声の個性を見せてくれながらも、３曲目や、５曲目で見せる、踊れるＵＰソングでも、勢いを見せてくれます。スローでもＵＰでも素晴らしい歌を聞かせることができる、両極端な魅力を持ち合わせた数少ないアーティストなのです。アップでは、サウンドというか、使っている音が面白い！癖になるような音がたくさんつかわれていて、それを解析しているだけでも、楽しめます。そうして、そのＵＰサウンドを、軽快に乗りこなせる若さも持っていて、本当にカッコよく纏め上げられたアルバムです。特に７曲目のブリブリ感というのか、ＵＰサウンドの乗った心地よさはたまりません！そして、そのＵＰに負けないバラードの素晴らしさ、特にシャウターとしてのJULIANも魅力的で、こみ上げるように歌う様が、情熱的なのです！どのバラードもかなり彼の情熱的なシャウトが魅力的に入ってきていて、思わず目を閉じて聞き入ってしまいます。
彼の歌声は本当に美しいほどのテナーで、本当に気持ちよく歌っているな〜と感じられるのです。そして、他のアーティストもうまいこと使って一枚のアルバムとして飽きがこないように練られています。歌心溢れる一枚で、どんどん引き込まれてしまうことでしょう。もう、文句無しでお薦めできる一枚です！ぜひ見かけたら買ってくださいね〜。

(曲解説)

01. Intro: Julian's Crib

ピアノとストリングスがなり、JULIANの透き通る力強いテナーボイスで、素敵なメロディーが展開されるイントロです。熱く燃え上がるシャウトがこのアルバムの良さを予感させます。

02. That Thang

最初はムーディーに心地よいメロディーでしっとりと歌い上げていくJULIAN！彼はサウンドの作り方が絶妙で、声の落としどころとサウンドの聞かせどころをうまく併せて、スローなバラードでありながらも印象的に聞かせていきます。徐々に後半に行くにしたがって激しさを増していくシャウトの分厚さに悶絶してしまいます。本当にうまくバックコーラスを使っていますよ。

03. Gotta Go Feat. E.p.

電子音っぽいイントロから、滑らかでカッコイイメロディーへと流れ込んでいきます。このUPが最高にかっこいい〜！90年代真っ只中な誰ものストライクゾーンを付くであろうキャッチーさとカッコよさを持っています。この曲を聞いて踊りたいそんな気分にさせてくれる一曲です。ホントこの人スローだけじゃなくてUPでも歌えるな〜と思わせてくれます。特にインパクトがあるフレーズを作るのがうまくて、自然と一緒に口ずさんでいることでしょう。

04. Make Up Your Mind Feat. Dionne Daniels

ここでは女性シンガーDionne Danielsをfeatして、しっとりと大人な絡み合いが素敵なデュエットを見せてくれます。後半に見せていく絶妙な掛け合いで、二人とも歌のうまさをこれでもかと見せてくれます。包み込む素敵なテナーボイスのJULIANとまっすぐな雰囲気のDionneの歌声が絡み合うと、とても新鮮でまっすぐな気持ちにストレートに届く歌として響いてきます。

05. Time to Party Feat. Charyn Cannon & Mr. Malt

Rapperをfeatして、ここでもＵＰテンポで見せていきます。女性とRapperの掛け合いのフレーズが思わず、一緒に口ずさんでしまいます。本当にJULIANはこういうUPソングで魅力的に見せる術を知っています。曲の水準とかアルバム全体から行けば、バラードが素晴らしいのですが、数少ないＵＰソングをこれほど魅力的に見せてくれるとは驚きです。踊れるいい雰囲気のビートが心地よい！

06. Beautiful

重厚なサウンドとコーラスが織り成す、荘厳なバラード。重い雰囲気でいながらも、JULIANの歌いっぷりが最高にかっこいいのです。ここまでまっすぐにバラード歌いこなせる人物もそうそういないでしょう。

07. Shake Ya Booty Feat. Stephanie Jones & E.p.

ここでまたＵＰ！こういう感じでスローＵＰスローＵＰっというジェットコースター並みの急勾配のアルバムのテンションの変わりようなのですが、ＵＰの水準が他のアルバムよりも段違いに高く、しかもキャッチ−なメロディーが多いので、飽きずにそして、不思議なまとまりがあって聞こえてきます。特にこの曲は、JULIANも楽しそうに歌い上げているのが、聞いていて楽しくなります。なんかこのブリブリ感たまりません。

08. All That Glitters

スローバラッドを聞かせてくれるJulian、ボイスモジュレーターも使いつつ、まっすぐな歌を聞かせてくれます。四の五の言わずに、素晴らしいバラードですね。こういうバラード本来の聞きほれる良さっていうのを思い出させてくれる一曲でした。

09. Overtime

ここら辺は、JULIANらしいバラードをどんどん聞かせてくれます。ここまで飽きずに、スーと聞いてこられるのも、個々の曲たちの水準が高いからです。そのほとんどをProcudeしているJulianのサウンドプロデューサーとしての水準の高さも示しています。ピアノとの相性が本当にいい声で、コーラスも自分で入れているのですが、心地よいです！後半の盛り上がっていく感じがたまりません！

10. Another Day in the Ghetto

ここで、いきなりSOULFULでもっと泥臭いサウンドになっていきます。Jaheimとかの雰囲気に近いボーカルで、以前よりももっとSOULFULでカッコよく聞かせてくれます。

11. Love Her in a Special Way

前作でのSOUL臭さから脱して、軽快なゴスペル調なサウンドが心地よい曲を聞かせてくれます。優しいサウンドと歌い方に癒されるようです。聞いていてこっちが気持ちよくなるほどに、Julianも気持ちよく歌い上げていきますね〜。

12. Dedicate

最後もやはりバラードで締めてくれます。ピアノ一本で、しっかりと歌い上げていくゴスペルっぽい曲なのですが、そのピアノをバックに彼のまっすぐで情熱的な歌声を、ぶつけてきます。本当にこれだけ歌えればきもちいいでしょうね〜。

(Producer)

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