Full Of Harmony / DRAMA
02. MUSIC TRIBE featuring Q, KM-MARKIT
03. UTAKATA
04. YOU&I
05. Sweet home featuring マボロシ
06. Through the GATE
07. Angel
09. 涙の数だけ
10. himatsubushi ?Interlude?
11. FLAVA
12. another world
13. SUPERSTAR
14. Harmony
(総評)
通算5枚目となるF.O.HことFull Of Harmonyのアルバムは1st、3rdアルバムに続く傑作アルバム!Full Of Harmonyと名前を変えてから、どちらかというと歌や歌詞をメインに据え、歌が聞き手に届くことを第一に歌っているような感じで、前作のアルバムはサウンド的にも少し彼ららしさが消えてしまい、面白みが半減してしまった感じがしたのですが、このアルバムは村山晋一郎氏と、新鋭のUTA氏などのサウンドプロデューサーが最高のトラックを提供してくれていて、改めて彼らの原点であるR&Bというサウンドで聞き手を引き付けてくれます。さらに、本来の彼らのR&Bのハーモニーを大事にした部分もしっかりと出ていて、まさに、King Of Harmonyと呼ぶにふさわしい一枚です。特に14曲目でのハーモニーの美しさは今までのアルバムの中でも随一かもしれません。そして、このアルバムをさらに素晴らしいものにしているのは、2曲目「MUSIC TRIBE」で見せてくれる勢いのあるサウンドに、HIPHOPアーティストを積極的に採用したその姿勢でしょう。貪欲に新しい物への挑戦し、新しいプロデューサーを採用しサウンド面も改善していることが、このアルバムの完成度を高くしています。
このように、ファンが望む方向性に修正してきたことは、本当にうれしい!やっぱり彼らにはただの歌謡調なバラードよりも、R&Bの90年代ボーカルグループが示したカッコイイハーモニーをどんどん取り入れた曲を出していってほしいですね。それが見事に体現できる数少ないグループだと思うので。
特に注目したいのは、やはり、2曲目「MUSIC TIRBE」と14曲目「Harmony」。2曲目はTINY VOICE PRODUCTION期待のUTAと、14曲目は村山晋一郎さんのプロデュースの曲で完成度が物凄いのです・・・二人とも凄すぎです。二人とも複数のトラックを手がけており、7曲目「Angel」でも素晴らしい仕事を見せているUTAさんが音の使い方がホントうまくリズムが印象的な新しいR&Bサウンドをトータルでプロデュースし、Introや久々にいいシングル「YOU&I」を手がけた村山さんが普遍的な素敵なピアノが印象的なR&Bバラードを演出し、アルバムトータルとして、とても幅があって完成度が高いものになっています。また、13曲目では、去年なくなったLuther Vandrossへの思いを歌うなど、1stアルバムで見せてくれたR&Bへのこだわりと愛をまた再び見せてくれています。これがよりR&Bアルバムとしてのふり幅も持たせてくれて、1stアルバムに次ぐ完成度を誇るアルバムです。日本のR&Bの第一人者としてのFull Of Harmonyを改めて感じさせてくれる一枚です!
ジャケットも非常にかっこよくて、特に中ジャケの3人がカッコイイ!中が紙ジャケと分けられているのが、なんか洋楽の輸入版を意識したのかな?と思わせるのも面白いですね。前作でちょっとと思った人にこそ聞いてほしいアルバムですね。
(曲解説)
01.DRAMA 〜Introduction〜
村山晋一郎氏による素敵な厚みがあるストリングとピアノのイントロから、コーラスグループらしい、美しいハーモニーで聞かせてくれます。そうそうこういう美しいものを彼らには求めていたんですよ。こういう美しくも複雑に絡み合うR&Bハーモニーができるのは、国内でも国外でもそうそういませんから。ぜひ、こういうのはもっとやってほしい!このインタールードで自ずと、期待は高まります。最初の声は、村山さんみたいですね〜、ほぉ〜!
02. MUSIC TRIBE featuring Q, KM-MARKIT
今回のFull Of Harmonyのこのアルバムの方向を決定付けたであろう、素晴らしいHIPHOPサウンドと素晴らしいメロディーとハーモニー!こういうのを1stアルバム以来ずっと待っていました。1stアルバム以降ほとんどREALなHIPHOPアーティストをfeatすることはほとんどなかった彼ら。R&B界の牽引役となったからこそ、こういう若手やコアなアーティスト達と絡んで、どんどん新しいFull Of Harmonyを出してくれることを待っていました。サウンドもUTAさんプロデュースの間違いない出来の一曲!こういうリアルなサウンドをずっと求めていたのです、やっとファンの求めるところと本人達のベクトルとがあったのかなとこの曲を聞いて思えましたね。とにもかくにも2006年のR&Bの名曲の誕生です!爆発的なイントロのMCから、3人の歌声が複雑に絡み合い見事なハーモニーを奏でて、HIROのシャウトも冴え渡っていて、Qや、KM-MARKITもそれぞれの味を出しながら、曲の雰囲気を大事にして盛り上げていきます。この二人がとても声が対照的なのも曲に幅を持たせています。YUTAKAのサビでの合いの手のように入る歌声が渋くてかっこいいんですよね〜。このスリリングな展開は、聞いててドキドキされられます。Beep音がいい感じにこの曲の迫力を増しています。そして、一気にハーモニーが爆発するサビでは、思わず唸るしかありません。HIPHOPとR&Bの見事な融合を見せてくれます。今までのF.O.Hのサウンドの中でも随一のかっこよさを誇っています。この爆発力は凄いです。
03. UTAKATA
和を感じさせるサウンドでありながら、のりは完全にHIPHOPっていう面白いバックサウンドに、勢いがある3人の歌声が盛り上げてくれます。シングルのカップリングでは、ファンの間でも人気が高い曲だったのですが、こうやってアルバムを通して聞くとh-wonderの楽曲の完成度の高さを感じます。そして、歌詞がなんとも面白い。カラオケとかで歌うと良くわかるのですが、微妙にちょっと古い言葉とかも使ったりしていて、セクシーなんだけどすごい難しい歌詞なのです。3人とも言葉の音への乗せ方をずらしたりして、その辺のスキルの高さもこの曲の聞き所です。そして、転調は必ずARATAなのねと、思わず納得してしまう転調の部分も、楽しい感じです。ライブではこの部分はお決まりのダンスもあって見所です!
04. YOU&I
アルバム発売前にだしたシングル!ゆったりとしたサウンドが2,3曲目で盛り上げた心をゆっくりと癒してくれます。曲順も練られているアルバムだと感じる瞬間です。そしてやっぱりこの曲はメロディーもR&Bバラードの王道という感じで、村山晋一郎さんお得意のストリングスとピアノの素敵なメロディーが、より3人の歌を鮮やかに浮かび上げらせます。二度と会えない人への切なく哀しい思いを、ゆっくりと聞き手の心に刻み付けていきます。本当に美しい曲です。
05. Sweet home featuring マボロシ
MUMMY-D率いるマボロシをfeatした、ちょっと砕けた感じの一曲、ここまでちょっと肩肘張ってきたのを、ゆるりとした気分にさせてくれます。ほっこりとした感じで、リラックスした3人の歌に、MUMMY-Dも心地よいRapで答えます。このMUMMY-Dのリリックは彼女がいて助手席に乗せたことある人なら、誰でも経験したことあるような感じで面白くて笑えます。リリックが一番Full Of Harmonyらしい感じで、日常の情景を等身大で表してくれています。
ARATAのところで、指に触れるって歌詞の前にタッチっていうのが、なんかかわいらしい(笑)MUMMY-Dのちょっと優しさが垣間見れるリリックもいいっすね〜。
06. Through the GATE
シングルカップリングだった曲をアルバム用に少しアレンジして収録!イントロからしてかっこいい〜、2曲目とはまた違う、R&Bらしいアレンジのサウンドに流れるように歌を載せていくかっこよさを見せてくれます。体を揺らすUPBEATが心地よく響きます。トラックの音がよりシングル収録のやつよりも、洗練されていますね。この曲もUTAさんProduceです。1way,2way〜という歌詞のときにライブで一緒に手を上げるのがいいんですよね、この曲は。
07. Angel
YUTAKA作詞作曲・UTAプロデュースのミッドテンポバラード!これがカッコイイ!なんとなくYUTAKAのサウンドってわかる適度に緩いグルーブを持っていて、ゆったりと美しく流れるようなメロディーにウットリさせられます。静かに緩やかに体を揺らしてくれるサウンドという、かなり長く聞ける素敵な一曲です。徐々に熱く歌いあげていき、声が重なっていきます。そして、転調へと!この転調が、ARATAからHIROへと珍しい展開を見せているし、それに何よりもそのときの気だるい切ない感じがなんともたまらないですね〜。こういう軽くRapみたいのも混ぜてくれると、歌のうまさもより引き立ちます。最後のHIROの歌い上げっぷりは、彼のシャウターとしての才能も見せてくれます。
08. PARTY TIME
夏らしいシングル曲Party Time!最近のライブでは必ず盛り上がるところに入れてきますが、R&Bぽくはないんですが、純粋に単純に盛り上がれる心地よさがこの曲にはあります。もちろんその辺は、Producerの今井了介さんの力でしょうね〜。サウンドも歌声の重ね方も、全てが夏っぽいパッと終わってしまうような、そんな楽しいひと時を思い起こさせます。
09. 涙の数だけ
ここはシングルが続きます。AKIRAプロデュースのこの曲のバックサウンドは面白くて、ガ〜と盛り上がったと思ったら一気に引いてという繰り返すのですが、これで、サビの壮大さがうまく出ている一曲です。どこで入れてくるのかなと思ったらここでいれてきて、ちょうど良くアルバムに馴染んでいます。
10. himatsubushi ?Interlude?
この曲を作ったYUTAKAらしいタイトルなのですが、そんなちょっとした雰囲気が心地よいです。Beat Boxっぽいサウンドで、うまく壮大な歌謡調のバラードから、HIPHOPサウンドへと橋渡ししてくれます。
11. FLAVA
シングルのカップリングとして、Full Of HarmonyのR&Bとしての本来の姿を感じさせてくれた一曲!ちょっと重いビートで、ずっしりと聞かせてくれます。プロデューサーさんの色も良く出ている曲だと思います。
12. another world
軽快になるストリングスが心地よく響き、そのサウンドに併せて、ちょっと軽く歌いつないでいく3人。「口ずさむ」っていうHIROの優しいフレーズが、なんかこの曲のちょっとせつないけど心地よい感じを演出しています。
13. SUPERSTAR
昨年亡くなった大御所Luther Vandrossのトリビュートとなる一曲。まさか、このタイトルを使って、こういう新しい曲を作ってくるとは思いませんでした。Lutherが好きな3人が最初に、軽い感じでa cappellaで歌っているのが、とても心地よさそうで、素敵なトリビュートソングになっています。シンプルな構成の曲なのですが、その歌や曲のシンプルさをサウンドが最低限の音で、しっかりと支えてくれています。Full Of HarmonyのLutherなどの自分達が歌を始めたときや青春時代を彩ったであろうLuther Vandrossへの思いがとてもよく出ている一曲です。
14. Harmony
ここでも、村山晋一郎さんが素敵なサウンドを聞かせてくれて、そして、Full Of Harmony史上最高のバラードを聞かせてくれます!こういうスウィートで、美しくてハーモニーが美しいR&Bバラッドを求めていたんですよ。素晴らしい一曲です。とても大きな愛について歌い上げる心表れる一曲です。3人のバランスも凄い良くて、バックコーラスも素敵に響いてきます。最後のHIROのフェイクとHOOKのメロディーが絡んでいくところなんて、心打ちますね。ただのバラードではなくて、こういうハーモニーを大事にした曲をもっとやってほしいな〜。英語の歌詞ですが、しっとりと心に染み入る素敵な言葉が並んでいます。この曲は本当に村山晋一郎さんが全てを手がけていて彼の実力の高さを見せ付けてくれています。末永く聞ける名曲です。
(Producer)
村山晋一郎:(1),(4),(14)UTA for Tiny Voice Production:(2),(6),(7),(13)
Ryousuke Imai for Tiny Voice Production:(8)
h-wonder:(3)
AKIRA:(9)
マボロシ:(5)
Isao ”MADDBEAR” Kumano:(11)
BACH LOGIC for MATCHSTICKMEN (PSW):(12)
TAKASHI FUTATSUGI for D-ST.ENT:(12)
YAMAMOTO YUTAKA:(10)