COMMON / ELECTRIC CIRCUS

(概説)

もう、そのタイトルが表すとおり、エレクトリックなサウンドの中で織り成す、COMMONと大好きな仲間達による大サーカスがこのアルバム。もう、奇想天外なアイデアの宝庫！素晴らしい楽曲がそろっています。たしかに・・・R&B ONLYという方にはちょっと勧めるのはためらわれるのですが、こういうHIPHOPサウンドもあるんだということを理解すれば、また音楽を聴く幅が広くなることでしょう。そんな彼の五枚目のアルバムですが、ゲストがすごい！一流ミュージシャンといわれるゲストばかりといってもいいぐらいのまさに今旬のアーティストを一同に介した一枚です！まさに”CIRCUS”ですよ。特に、Princeの参加はすごいですねー。あとは、Omarの参加も見逃せません！Cee-loや、Erykah Baduも、彼らのつながりを考えれば当然ですが、やっぱり、組み合わさるとうれしいものです。どのアーティストの色もうまく生かされており、その中心に、しっかりとCOMMONの存在があるのが、素晴らしい名盤だと思います。曲の構成やつなぎ(曲の最後は常に次の曲へのインタールドが入ってます)もよく考えられており、一気に聞けてしまいます。前作は、ちょっとモッタリとしていて、メリハリがなくて、聞き飽きてしまうことがあったのですが（それでも名盤ですけどね）、今作は、聞けば聞くほどよくなっていく、素晴らしい一曲です。
何枚もリリースを重ねても、挑戦をやめないCOMMONには、敬服するばかりです。Rootとともに、2002年のHIPHOPを新たな方向へ導いていく問題作でしょう。
個人的には、ジャケットの不思議さがなんともいい感じを出しています。これ実はパズルというか名前あてゲームができるようになっております。裏方さんなんかも写真載っていて、こんな顔してるんだーと思ったりして楽しめます。

(曲解説)

01.Ferris Wheel feat. Vinia Mojica, Marie Daulne of Zap Mama

アフリカンな雰囲気の中、エレキギターとピアノの不安定な音が、独特の世界観を作り出している一曲。これから起こる予想だにできない世界を現しているかのようです。ミキサーを使った、周波数の調整音なども入れていています。

02.Soul Power

一気に盛り上がる?uestloveがProduceする特徴的なリズムが印象的な一曲！Handclaps James Poyser and Ahmir "?uestlove" Thompsonっていうのが、なんとも面白いですが。Pino Palladinoによる引き釣るようなBass音が、一気に聞き手を引き込み、そして、このアルバムの雰囲気を一気にエレクトロなHIPHOPへと導いていきます。

3.Aquarius feat. Bilal

BilalをFeatした、これもまた?uestloveとJames Poyserによる一曲。地味にErykah BaduもWrittenで参加しています。GuitarのJeff Lee Johnsonのサウンドが、カッコよく、Commonの情緒的なRapと相まって、カッコよさを増しています・・・騒然とした、うねるような感覚がいいですねー。

04.Electric Wire Hustler Flower feat. Sonny of P.O.D

いきなり力強いRapが炸裂します！Commonにしては、メチャメチャ力ハードなHIPHOPをかましています。Electric Guitarのサウンドと、Hardな叫びが、猛烈な勢いで聞き手に襲い掛かります。思わず一緒に拳握って叫びそうですねー、ライブで聴きてぇ〜。これは、メチャメチャ以外でしたが、カッコいいです。このアルバムの中でも一番の出来です！DJ BADU（笑）によるScratchも最後のほうで堪能できます。

05.The Hustle feat. Omar, Dart Chillz

いきなりOmarのファルセットから！かなりカッコいいです。やっと落ち着いて、CommonのRapが堪能できます。この組み合わせ地味にカッコいいですよ。Omarじゃなかったら、このサウンドでここまで歌いこなすのは、ちょっと無理かもなー。ミドルテンポで癖になるサビがいい感じです！

06.Come Close feat. Mary J Blige

いわずとしたらシングル曲！このPVがなんとも暖かい気持ちにさせてくれるのです。本当に好きです。あのPVは。声が出ない女性に向かって、紙芝居で告白していく様がなんとも、アットホームで彼のジャケ写から受けるちょっと風変わりなイメージとは違い素晴らしい好青年に思わせてくれます。曲も、Jazzyなサウンドで、かつ爽やかな雰囲気をもっていて、リラックスした風に歌うMary J. Bligeの歌声が非常に生きています。そこに爽やかに情緒的に絡んでくるCommonのRap・・・うーん、気持ちがいい。地味に、この曲NeptunesのProduceです！こんな爽やかなサウンドができたとは・・・これは、彼らの今度の重要な作品になるでしょうね。

07.New Wave feat. Laetitia Sadier of Stereolab

前の曲とはうって変わってハードコアなドラムのサウンドから激しいRapが展開されます。そして、いきなり女性の美しい歌声(たぶんこれが、Laetitia Sadier)が入ってくるという、緩急自在な、まさに破天荒な一曲です。でも、絶妙なバランスをもって曲が進んでいくのは、凄まじいですね。まさに、New Waveのタイトルに相応しい一曲です。体を思わず揺らしてしまうようなサウンドに仕上がっています。いい曲です！

08.Star '69 (PS With Love) feat. Bilal

非常にBilalの声質がよく現われている、たる〜いビートに乗った一曲です。ちょっと間の抜けたような感じが、不思議な感じです。地味に最後のドラムのつなぎ方が好きですけどね。で、この曲KeyboardsとGuiterにPrinceが登場しています。

09.I Got a Right Ta feat. Pharrell Williams

Rockな雰囲気をもつHardなトラックです。Neptunesらしいですね。ちょっとこれは単調で面白みがないかなーと思いますが・・・

10.Between Me, You & liberation feat.Cee-lo

鬼才Cee-loの登場です。まずはゆるーい感じから、Commonが緩めのRapを披露します。サビでのゆるーい感じがなかなか楽しませてくれます。このSmoothyな感じこそCommonって感じがして好きですねー。そして、Cee-loもいい歌声してると思いますわ。そして最後の古いJazzyな雰囲気のトランペットがなんとも味があっていいですねー。

11.I Am Music feat. Jill Scott

そして、全曲の雰囲気を踏襲し、Coronet、Trumpet、Tromboneの軽快でJazzっぽいサウンドから、JILL SCOTTの美しい歌声が響き渡ります。このバックトラックのチープな感覚がまたいい感じです。そのチープさと、歌声の美しさ、そしてその間を渡り歩くCommonのRap、このバランスが絶妙な名曲です！古いNYのCLUBで流行ってたJazzサウンドってこういう感じですよねー。いいなーこれ！

12.Jimi Was A Rock Star feat. Erykah Badu

タイトルからわかるとおり、ジミヘンドリックへのオマージュ的な一曲。ギターのサウンドが入ってきて、その上で、Erykah Baduの透明感溢れる歌声がSimpleに響き渡る。CommonのRapもなんとも不思議な重さがあり印象的です。後半にかけての、狂わんばかりのサウンドと歌声のどす黒さが、胸に迫ります。重い暗いDeepな一曲です。

13.Heaven Somewhere feat. Omar, Cee-Lo, Bilal, Jill Scott, Mary J, Blige, Erykah Badu, and Lonnie "Pops" Lynn

なんともすごいGUEST陣です・・・今まで出てきたアーティストが勢ぞろいです。トラック的には、マッタリとしたPianoが印象的な優しい感じの一曲。まずは、Omarと、BilalとCee-loが歌っていきます。やっぱり、Cee-loの存在感が突出しています。本当に、インパクトのある声ですわ。10分近く続く歌ですが、そんなに長く感じるは、まったくありません。そして、Mary J. Bligeや、Jill Scott、Erykah Baduも歌いつなぐという、なんとも豪華なすごい一曲です。

(Producer)

(LINK)