Ahmir / The Gift

(総評)

2007年ボーカルグループ復権を高らかに宣言できる最高峰のボーカルグループが登場！その名もAhmir！Mr.Jones, Big Mike, Sing-Sing KCからなるマイアミの4人組ボーカルグループです！4人ともが素晴らしいボーカルと声質の良さをもっていて、アップスロー問わず隙の無いコーラスワークで、どんな曲調でも歌いこなす圧倒的実力！そして、スローでこそ発揮される、信念さえ感じさせる、最初は抑えて抑えて、後半に爆発する歌い倒しっぷり！それを爆発を聞き手に伝えられる表現力の豊かさ！これほどにじんわりじんわりと、歌い倒していくコーラスワーク、メロディーワークはここ最近では聞いたことがありません。決して派手な音やサウンドに頼ることなく歌、そしてコーラスの厚みで聞き手を圧倒していくその迫力には感嘆せずにはいられません。まさに2000年以降の名ボーカルグループの一つとして上げられるであろうグループの登場です！
前半で見せるアップサウンドの素晴らしさにまず目が行くのですが、これが現行シーンに迫って追い越すほどに良く出来ているのです。普通インディーズのボーカルグループは、バラードは素晴らしいけど、アップサウンドはプロデューサーや音色などで、メジャーにかなわないので、どうしても力が弱くなるのですが・・・彼らは別格！もうメジャークオリティーなサウンドにパワフルで勢いがあるボーカルワークで軽快に飛ばしてくれます！そんな気持ちよくノせる曲だけでなくバラードでもこれでもかと聞かせてくれます。美メロ曲ももちろんいいのですが、スローバラードでネットリとしっかりと歌いこんでいき徐々に盛り上がってシャウトしていく様など、90年代全盛期のボーカルグループが自信に満ち溢れていた頃の勢いを感じさせ、それが2007年だからこそ新鮮味が溢れる歌い倒しっぷりへと繋がって、新たなも魅力を感じさせてくれます。前半はあくまでしっとりと抑えて抑えて、後半に入ってやっとコーラスの絡み合いを見せて、最高調に達するまでネットリとハーモニーが絡み合います！ホントこの人たちは、これほどバラードをじんわりじんわりと歌いこんで聞かせるのが、怖くないんでしょうか？ちょっとキャッチーなメロディーをいれていじっちゃいたくなりそうなものですが、そこを敢えてシンプルなメロディーワークであとは後半のコーラスの絡み合いで最高の楽曲に仕上げていく、ボーカルグループとしての力は本物です！
そんな彼らの楽曲の中で、なんといっても最初に目を引かれて素晴らしいのが、ボーカルグループ好きの間で相当話題になっていた先行シングルの一つである8曲目「The Wedding Son」この美しい壮大なバラードには本当に心打たれます。しっかりと歌いこめる4人のボーカル能力とコーラスワークの水準の高さからくる力強い歌の厚みと、派手さはないけど美しいメロディーに感動せずにはいられないのです・・・この一曲のために買ってもいいですよー！そして、3曲目「Welcome To My Party」でビルボード4位になったことで証明した、アップサウンドのカッコよさ！現行シーンをリードするほどに、激しくカッコいいのもできるのです、「Let's Get This」などなかなか踊れたりサウンド的にも挑戦的な曲が多くて、その勢いとパワフルさに圧倒されます。前半は特にこういうなアップソングでこれでもかと、現行シーンへのアピールも忘れず、後半はそんな現行シーンへまるでそっぽを向けるかの如く、R&Bとはボーカルグループとはこういうものだ！とでも言いたげに、オーソドックな楽曲でボーカル&コーラス・・・そう声の魅力でぐいぐい聞き手を引き込んでいきます！
そんな引き込んでくれるバラッド曲では、特に、11曲目「Who Ya Gonna Call」と13曲目「Cloud 9」あたりから始まるバラードの応酬が気持ちいい！この11曲目の盛り上がりや13曲目のスムーズな気持ちよさでさえ素晴らしいのに、14曲目「INDIAN GIVER」では、オーソドックスな雰囲気のトラックにこれでもかと力強い歌を聞かせて、美しいメロディーをただ聞かせているだけで歌の本物の魅力を感じさせて、本当に聞いているだけでその声に引き込まれ、どんどん声を重ねて盛り上がっていくような素晴らしい曲を聞かせてくれて、さらに18曲目「She's Over Me」でも、同じように楽曲のベーシックな魅力を感じさせるコーラスワークが光る名曲に仕上がっています。決して後半派手さとか、メロディー的なわかりやすさとかはないのですが、それを補ってあまりあるほどに、歌！歌！歌！声！声！声！の根本的な歌の魅力を見せてくれるのです。コーラスグループとは、本当にこういう歌いこみをできる人たちをいうんですよねー。
そして、このアルバム最高峰の極限値を迎えるのが、19曲目「True Love」！この曲の最後の何度も何度も転調を繰り返し音程が上がっていき、そしてコーラスでねじ伏せるがごとく歌いこんでいく様には、圧倒されてしまいます・・・凄すぎますよ・・・今年のTOP SONGといってもいいほどです。最初は爽やかに見せながら後半はもうねちっこくこれでもかと盛り上がっていきます！
前半と後半との緩急のバランス感覚の素晴らしさを感じさせてくれます！後半はもうバラードの見せ場がたくさん出てきてきます。本当に前半からじっくりと聞いてもらえれば彼らの凄さが、徐々に徐々に肌に突き刺さるほどにわかってきますよ。あたふたとしてしまいそうになるほどに、後半のバラード攻勢には完敗ですよ。絶対買っておかなくてはならないR&Bの名盤の登場です！

オススメ:(19),(8),(14),(18),(11),(13),(15),(16),(3),(6),(4),(2)

(曲解説)

01.Intro

パワフルなMCとメンバーが語らっていきながら、ピアノのバックから、クラップが入っていき、近年見られないほどに、パワフルなアップサウンドを聞かせてくれます。

02.Watch & Learn

1曲目から間髪入れずに、FUNKYなエレキギターの音色とリズム音にのって、ダーティーサウスに近い色合いの、アップサウンドを聞かせます！アップでは必ず一人Rapperが入るようなのですが、このRapperとの相性も抜群で！カッコイイ！これほどのパワフルなアッパーソングができるボーカルグループも最近は少ないですね！サウンドも厚みがあり、とてもインディーズとは思えないクオリティーです。

03.Welcome To My Party

インディーズアーティストながら、ビルボートチャートに4位までランクインしたという凄い一曲！軽快なサビのメロディーと、畳み掛けるかのごとく、どんどん吼えていくコーラスワーク！全てが上がり調子に、曲を盛り上げていきます。まさにParty Likeな盛り上がりが最高に上げさせてくれます！

04.Right To Left

最初にレゲエDJを向かえて、そこからスムーズでねちっこい歌を聞かせてくれます。こういうさりげない歌いこんで行くところに彼らのパフォーマンス能力の高さを感じずにはいれらません。疾走感があるメロディーの一曲なのですが、絶妙にレゲエDJのパフォーマンスもあっていて面白いです！インディーズアーティストがこういう冒険をしていて、成功している珍しい例ですね〜。カッコイイです！もっとも勢いがあるときのJagged Edgeを思い起こさせます。

05.Donkey

コミカルなサウンドにのせて淡々とメンバーが歌いつないでいきます。ミッドテンポな曲調なのですが、じっくりと歌を聞かせてくれていて、聞き応えがあります！なかなか他のボーカルグループがやらない面白い曲調に挑戦しています。

06.Let's Get This

軽快な掛け合いがインパクトがあるサビのメロディーから、明るいソウルフルな雰囲気の曲を披露してくれます。流れていくようなメロディーがカッコよくてついつい体がゆれてしまいます、そしてこの曲最後のRapperへの流れ方が最高にスムーズなのです、現行HIPHOPシーンを引っ張れる力を持ったアーティストでもあることを示してくれています。

07.The Gift

タイトル曲でもあるミッドテンポな一曲。この曲でも、彼らが力があるのが明白にわかります。こういう曲調でなかなか鮮やかに歌い上げてくれていて、パワフルさだけじゃない丹念なボーカルの丁寧な歌いこみもできるのを照明しています。

08.The Wedding Song

リリース前から結婚式のPVが相当話題になっていた素晴らしきバラード！もう前半でのサウス調のアップはなんだったの？っていいたくなるぐらいに、本当に凄いバラードの登場です！タメがすごい効いていて、スローなんだけどしっかりとリズムに乗っかってくる感じがたまりません。じんわりと歌っていくバリトンリードも包み込むような広がりのある歌を聞かせてくれて、それをしっかりとコーラスが支えていって、後半に一気に歌いこんで爆発していきます。この貯めに貯めて一気に盛り上がっていく最後も最高！中盤のスタンダードな雰囲気のメロディーもしっかりと馴染んで気持ちがいいし、これ以上文句のつけようのない名曲の登場です。

09.Sure I'd Like

ここでも美メロ好きにはたまらない一曲を披露します。ホント前半を聞いてたら、ここまで誠実に歌いこみ、ネットリトした声を聞かせてくれるとは思えませんよ。凄まじいです。まったりした曲なのですが、8曲目に負けないR&B要素と、スムーズな歌が気持ちがいいバイブスを出しています。ホントボーカルグループの真骨頂をこれでもかと見せ付けてくれますよ！はかなげなサウンドもしっとりと馴染んでいきます。中盤からここまで抑えていたテナーがファルセットでシャウトして盛り上げてくれます！これはホントどこから声だしてるのってぐらい凄い！まさに、聞き所です！

10.Foreplay (Interlude)

ファルセットで絡み合いながら、ゆっくりと次の曲への期待を盛り上げてくれます。

11.Who Ya Gonna Call

思いっきりスローなテンポのバラードから、一番聞きたかったミッドテンポなR&Bソングへと移行していきます。やっぱりこういうミッドテンポなサウンドで4人が絡み合いながら歌い倒していく曲って言うのはボーカルグループの華ですね！派手さもあるし、気持ちいいし！カッコイイです。最後にファルセットを混ぜながらメインとコーラスが絡み合っていくところなど見事です！

12.Show Me

ミッドテンポな曲調から、クールに流暢に流れるようなサビのフレーズがなかなか聞かせてくれます。派手な曲ではないんですが、ファルセットを織り交ぜて聞くほどに癖になるミッドテンポな心地よさとカッコよさに、翻弄されていきます。ボーカルはもう最高にうまいんだけど、こういう曲ではそういうボーカルだけで押すだけじゃなくて、抑えて歌ったりと、ボーカリストとしての完成されているのを感じます。

13.Cloud 9

いやーイントロから来たー！っていってしまいそうになる、いいメロディーにウットリとしてしまいますよ。これで悪い曲のわけがないよ！といいたくなります。そこからしっとりと歌っていき、最高に心地よいメロディーのバラッドを披露してくれます。こういう柔らかい歌い方のバラードって何度でも聞きたくなりますね！いい曲ですわー！

14.Indian Giver

ピアノのイントロからしっとりとしつつも底力を見せつけるような力強いボーカルで歌いこんでくれます。サウンド面でのネタ的な面白さというか作為的な感じは全然なくオーソドックスだからこそ、歌本来の魅力が十二分に見せつけることに成功しています。こういう王道な楽曲こそ後世にもずっと残っていくんでしょうね。後半に見せてくれるバリトンリードの張りのあるシャウトには、卒倒してしまいそうです。

15.Don't Quit

ドラスティックな美メロ曲からは一回離れて、スローテンポでゆっくりと徐々にシャウトを絡ませていってくれるような一曲。こういう曲は後半の盛り上がりが命！その盛り上がりで、個々のボーカルワークの高さがまざまざと感じさせられます！最後の、バリトンボーカルの歌い倒しっぷりには、涙すら流しそうです。この歌声であれだけの溜めっぷりをみせられるとは・・・もう乾杯です・・・。

16.Honestly (Interlude)

いやーもう後半は本当に、ボーカルグループのよさをこれでもかと見せてくれますわー。インタールードでさえ捨て曲などはありません！最高のシャウトを見せてくれます！

17.No Black & Blue

趣をここでは少し変えて、スパニッシュギターが印象的なラテン調のスロー曲。ホントこの人たちは、バラードがうまいだけじゃなくて、サウンド的にも幅広いものをもっていて、感動しますね。徐々にうねるようなコーラスワークを見せながら、リードがどんどん激しくシャウトしていきます。もうこのシャウトも、ホントバリトンボーカルのよさを前面に出していて、厚みがあるシャウトなんですよねー、なかなかいないですよ。

18.She's Over Me

地味な展開から、じんわりともうぐっちょりとしてしまうほどの、ネチッコイ絡み合いが見事なスローバラッド！しっとりとした最初の展開なのに、最後にはいつのまにか同じメロディーなのに、ドラスティックだと思ってしまうほどに、彼らのボーカルの表現力が半端じゃないんです！最後には、思わず目を閉じて、拳を握って聞き入ってしまうようなカッコいい展開へとかわっていきます！

19.True Love

最後は、爽やかな展開の曲・・・・とか思ったら、もうこの曲が最高！8曲目からもう圧倒的なほどの歌力で歌い倒していったので、なんか凄いホッとするような爽やかな展開にのって伸びやかなボーカルを聞かせてくれたたのかと思ったら、もう最後には、これでもかと歌い上げ盛り上げます！これ以上ないハーモニーと美しいコーラスワークで、どんどん高みへと上り詰めていきます！ホント彼らは、まだまだ引き出したくさんあるなと感じさせますよ！この最後で、本当に伸びやかなシャウトをガツン！と聞かせてくれるのです、しかもどんどんメロディーが高くなっていくのが、もうたまらなく気持ちいいです！もう最後は圧巻のコーラスワークです！これぞボーカルグループの醍醐味です！この曲は絶対聞きましょう！

20.Outro

最後のOutroは、アカペラコーラスを見せてくれます。うん、本当に見せ方わかっている人たちですよ！素晴らしい！最後まで息をつかせません。

(Producer)

Leon Jones:(1),(2),(7),(10),(12),(14),(18)
Felix Mwangi:(1),(14),(16),(18),(20)
Mark Robertson Jr.(2),(7),(20)
Menaj Entertainment:(3)
19.95abeat.com:(4)
Mad Skrews:(5)
Simon Vegas:(6)
Michael McDonald:(8),(10),(20)
FBG Production:(8),(9),(11),(13)
Vato:(15)
Ahmir:(16)
Michael Thompson:(17)

(LINK)

OFFICIAL
MYSPACE 未収録曲１ 未収録曲２ 未収録曲３